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麻生氏批判の朝日社説の視野狭窄

麻生副総理兼財務相が、少子高齢化の進展に関連した「年を取ったやつが悪いみたいなことを言っている変なのがいっぱいいるが、それは間違い。子どもを産まなかったほうが問題なんだから」との発言を撤回し、陳謝した。

確かに、最終的には子どもを産む、産まないは個人の自由な選択によるものになるが、この発言はそれほど問題なのか。

 

朝日新聞は「麻生氏の発言 政権の姿勢が問われる」と題した社説まで掲げ、麻生氏の発言について「政治家が口をはさむべきではない。加えて、麻生氏の発言は、子どもを持てない人への配慮を欠き、少子化の責任を個人に転嫁しようとするものだ。看過できない」などと批判している。

 

しかし、麻生氏の発言を「少子化の責任を個人に転嫁しようとするものだ」と短絡的に批判するのは、あまりにも視野狭窄だろう。

 

社説は、少子化の原因について「非正規雇用が増え、低賃金や将来不安から、結婚や出産をためらう人たちがいる。子育てをしながら働ける環境も十分ではない。少子化の危機が叫ばれながら、抜本的な対策を怠ってきたのは、長年政権の座にあった自民党ではないか」と指摘している。これも短絡的だ。

 

少子化が進む大きな理由は経済の成熟だ。先進国は軒並み少子化が進む。各国の2016年の合計特殊出生率をみると、フランスが1.92、スウェーデンが1.85、米国1.82、英国1.79、ドイツ1.59、日本1.44だ。合計特殊出生率は、1人の女性が生涯に生むと見込まれる子どもの数で、人口を維持できる水準は2.07とされている。少子化の進展度合いは異なるが、先進国は少子化が進んでいるのだ。

 

また社説は、菅官房長官が2015年に、人気俳優同士の結婚について「ママさんたちが一緒に子どもを産みたいとか、そういう形で国家に貢献してくれたらいい」とコメントしたことや、参院副議長も務めた山東昭子参院議員が17年に「子どもを4人以上産んだ女性を厚生労働省で表彰することを検討してはどうか」と述べたこと、さらに二階幹事長が昨年6月に「この国の一員として……、子どももたくさん産んで、国も栄えていく」と語っていることなどを引き合いに出して「国力の維持のために出産を奨励する。自民党の政治家からはむしろ、戦前の『産めよ殖やせよ』を思わせる発言が後を絶たない」と論じている。

 

ここまでくると朝日流の既成概念は犯罪的でもある。

 

少子化が進めば、国の維持が難しくなる。こういうと朝日は脊髄反射的に「産めよ殖やせよ」を連想するのだろうが「地域の活力が失われていく」とどうなのか。活力どころか、地域の維持が困難になるかもしれないのだ。

 

さらに社説は冒頭で「政治家が口をはさむべきではない」と非難しながら、結びでは「安倍政権は『全世代型の社会保障』を掲げ、子育て支援にも力を入れるというが、一連の発言をみれば、人権と多様性を尊重し、子どもを産み育てやすい社会を本気で築こうとしているのか疑わしい」などと、政権の姿勢に疑問符を投げかけている。

 

一方では、子どもを産む、産まないは個人の問題だから政治家は口をはさむなといい、また一方では政権の少子化対策を批判しているのだ。結局、こうした倒錯した論調は、日本の少子化対策の進展に何一つ有益ではないだろう。

 

(terracePRESS編集部)

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