将来世代のためにも未来を拓く国会論戦が不可欠
岸田首相は3日、参院選後初となる臨時国会の所信表明演説で「日本経済を必ず再生させる」「多層的な外交の展開と防衛力の抜本的強化を通じて、アジアと世界の平和と安定を断固守り抜く」と力強く表明した。日本経済の再生と安全保障の確立は日本が現在直面している重要な課題で、首相は改めて「未来を切り拓くため、政策を、一つひとつ果断に、かつ丁寧に実行していく」と述べた。
首相は演説で世界規模の物価高や急速に厳しさを増す安全保障環境、新型コロナウイルス感染症、エネルギー・食料危機、そして半年以上も緊迫した情勢が続くロシアによるウクライナ侵略などを挙げて、「今、日本は、国難とも言える状況に直面している」と述べた。
野党などは今回の国会で物価問題とならび旧統一教会問題で政府を追及するとしているが、物価問題はまだしも、経済再生や安全保障など重要な課題が山積している中では、そうした国民の生活に直結する問題を議論すべきだろう。
おりしも、北朝鮮は4日に中距離弾道ミサイル1発を発射。政府によるとミサイルは青森県上空を通過した事態も発生した。ミサイルの推定飛行距離は約4600キロに達し、北朝鮮が発射したミサイルとしては過去最長の距離で、日本への脅威も一層高まったといえる。
日本が現在、経済環境、安全保障環境など各方面で厳しい状況に直面している。そうした課題を一つ一つ解決していこうというのが所信表明演説から読み取れる岸田政権の姿だ。
例えば首相は演説で、物価問題について「我々は、食料品とエネルギーを中心に、生活に身近な商品の値上がりが続く事態に対し、機動的な対応を行ってきた。先月には、食料品やガソリンの値上がりを抑えるための追加策を取りまとめた。特に家計への影響が大きい低所得世帯向けに、緊急の支援策を講じた。間を空けることなく、今月中に、総合経済対策を取りまとめ、何としても、この物価高から、国民生活と事業活動を守り抜く」と述べている。
確かに、ガソリン価格など急激な値上げは抑制され、多くの人々がその恩恵を受けている。食料品についても、輸入小麦価格、配合飼料の負担を10月以降も据え置いており、値上げを最小限に抑える方策は実行されている。
さらに首相は演説で「これから来年春にかけての大きな課題は、急激な値上がりのリスクがある電力料金。家計・企業の電力料金負担の増加を直接的に緩和する、前例のない、思い切った対策を講じる」とも表明している。
もちろん、物価対策だけが政府の役割ではない。円安が進行する中で日本経済をどう再生させるか、新しい資本主義の構築や生活困窮者対策、こども家庭庁の発足にあわせた子ども政策の拡充など、さまざまな課題は待ったなしだ。
野党は参院選の敗北を受けて、政策提案よりも再び政府批判に傾くのだろうが、そうした野党に付き合うことなく、日本社会の未来を切り拓くための政策を実行することが求められている。
(terracePRESS編集部)