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2022.10.05

将来を見据えた日本の安全保障の確保策を

政府は先ごろ、防衛力の抜本的強化に向け、自衛隊の装備のあり方や予算規模、財源などを議論する「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の初会合を開いた。ロシアのウクライナ侵略に加え、中国の軍備増強など世界やアジアの安全保障環境が厳しさを増している中で、将来を見据えた日本の安全保障の確保策についてしっかり議論すべきだ。

 

政府は年末に向け、「国家安全保障戦略」「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」の3文書を改定する。

「国家安全保障戦略」は外交政策と防衛政策を中心とした国家安全保障の基本方針で、おおむね10年程度の期間を想定している。

「防衛計画の大綱」もおおむね10年程度の期間を対象として、防衛力のあり方と保有すべき防衛力の水準を規定。さらに「中期防衛力整備計画」は5年間の経費の総額と主要装備の数量を明示することとなっている。

つまり、この年末までの間で今後10年間の日本の安全保障の方向が決まることとなる。

 

日本はロシア、中国、朝鮮半島のいわば最前線に位置しており、日本の領土である尖閣諸島問題だけでなく台湾や南シナ海の状況が直接影響することが避けられない。

そうした中で、ロシアのウクライナ侵略だけでなく、南シナ海でも一方的な現状変更の動きが現実化しており、台湾についても中国は武力統一を放棄していない。

 

米国とロシアはINF条約(中距離核戦力全廃条約)の締約国だったため射程500キロから5500キロの地上発射型中距離ミサイルを保有していないが、締約国ではなかった中国は地上発射型中距離弾道ミサイルを約1900発、中距離巡航ミサイルを約300発保有しているとされており、日本の安全を脅かす可能性がある。

 

また、北朝鮮も短・中距離弾道ミサイル発射装置を最大150基保有しているとみられている。9月25日から連日のように短距離弾道ミサイルを発射するという異常事態も起こっている。

 

岸田首相は「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の初会合で、「現下の厳しい安全保障環境の中においても、国民の命と暮らしを断固として守り抜かなければならない。我が国周辺における核・ミサイル能力の向上や一方的な現状変更の試み、サイバーなど新しい領域や国民保護といった幅広い課題に対応していくため、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討し、防衛力を抜本的に強化していく」との決意を述べている。

 

しかし、こうした議論が進むと間違いなく、防衛力強化への反対論が噴出する。それらの反対論のほとんどが空想的平和主義に基づく稚拙な安全保障論にすぎない。それらの主張を真に受ければ、日本の将来を危うくすることもあり得る。

 

首相は会合で「総合的な防衛体制を強化するに当たって、それを支える経済財政の在り方・基本的な考え方についても、御議論いただきたい」と述べている。防衛力の強化には国民負担を伴うが、日本が現在置かれている安全保障環境や中国、ロシア、北朝鮮などの軍備状況やアジアの情勢を正確に国民に伝え、理解を得ることが不可欠だ。

 

(terracePRESS編集部)

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