財務相の潜水艦体験搭乗を「私物化」という野党のお粗末
「野党議員は、いったい何のために政治家になったのか」と思う。「桜を見る会」批判ばかり続け、その勢いで「審議拒否」とぶち上げたかと思えば、あっさり撤回。あれほど問題視し、追及すると息巻いていたはずの日米貿易協定は、野党が今国会の大きな争点にするのかと思えば、4日の参院本会議で承認された。もちろん、立憲民主、国民民主、共産などの野党は反対したのだが、もはや野党は政策論争をできないレベルにまで劣化していることを露呈した形となった。
だから、麻生財務相が海上自衛隊の潜水艦に体験搭乗したことについても「自衛隊の私物化」などと批判することになる。
海上自衛隊などによると、体験搭乗があったのは5月18日の土曜日で、午前中に神奈川県横須賀市にあるアメリカ海軍横須賀基地で潜水艦「うずしお」に乗艦。横須賀周辺を航行し、夕方、基地に戻ったという。
この搭乗について立憲民主党の蓮舫副代表が「この内閣は公私混同というか、行政の私物化が当たり前に行われている」と批判しているのだが、どこが私物化なのだろう。
そんなことはあり得ないが、どこかに旅行に出かけるのに潜水艦を利用したというのなら「私物化」という指摘も理解できる。しかし、麻生氏は内閣の重要な閣僚だ。その閣僚が、自衛隊の業務を理解するために体験的に搭乗することが、どこが私物化なのか。
麻生氏も記者会見で「海上自衛隊の実情に触れるということで乗せて頂いたんだと思う。防衛予算の査定作業にあたったりするうえでも、これは現場環境というものを知っておくということは大事なことだったと考えて、なるべくこういうのは現場に行くので、潜水艦以外の現場にも色々行かせて頂いている」と説明しているが、その姿勢のどこに問題があるというのだろうか。
一部メディアは「総理や閣僚による潜水艦の体験航海は過去5年間に行われたことがなかった」など麻生氏の搭乗がさも異例なことのように報じている。しかし、5年間なかったから問題なのではなく、防衛機密などがあり難しい点も多々あるだろうが、安全保障を理解する上でも閣僚だけでなく、本来は多くの国会議員が体験搭乗するべきなのだ。
蓮舫氏は民主党政権時代に「2位じゃダメなんですか?」という迷言で、スーパーコンピューター開発の予算を削った張本人だが、大局的見識を持ち合わせからこそ、財務相の潜水艦体験搭乗も理解不能で、「私物化」という判断しかできないのだろう。
この問題では、河野防衛相も「(麻生)副総理はNSC(国家安全保障会議)のメンバーでもあり、また、財務大臣、当然、防衛予算を査定する立場でありますから、当然、必要があって体験されたというふうに考えている」と述べている。
蓮舫氏にはぜひ国会の場で「私物化」と考える根拠を堂々と述べてほしいものだ。
(terracePRESS編集部)