国民生活に直結する経済対策の策定進める岸田政権
政府は今月末にとりまとめる総合経済対策の編成作業を進めている。新型コロナウイルス感染症によって影響を受けた経済の再生やロシアのウクライナ侵略などを契機として発生した円安に伴う物価上昇対策、成長と分配の好循環を実現するための取り組みなどが中心となる。高騰する電気代の抑制やガソリン価格の引き下げの継続など国民生活に直結する対策が盛り込まれそうだ。
岸田首相は9月30日の閣議で、「我が国は、新型コロナ、ロシアによるウクライナ侵略、世界的な物価高騰など、歴史を画するような様々な課題に直面している。岸田内閣は『政策断行内閣』として、あらゆる政策を総動員し、この『戦後最大級の難局』に対峙していく」と述べ、「総合経済対策」の策定を指示した。
対策の柱となるのは①物価高騰・賃上げへの取り組み②円安の活用による地域活性化③「新しい資本主義」の加速④国民の安全・安心の確保、の4点となる。
物価対策としては末端ガソリン価格や輸入小麦価格の引き下げなどすでに実施している対策もあるが、今回の経済対策では電気料金の値上げ対策などが焦点となる。
電気料金については、末端の家庭での料金が2割程度上がっているため、これを1割程度の値上げにとどめるような方策が検討されているという。
またガソリン価格については本来200円程度になるはずの価格が170円前後にまで引き下げられており、これの継続が検討されている。
また、経済対策としては賃上げ促進も重要な政策だ。確かに物価は上昇しているが、物価上昇自体に問題があるのではなく、それに見合う賃金の上昇があれば、物価上昇分は吸収される。
もちろん、最低賃金の引き上げなどによる政策誘導は必要だが、賃上げは本来、民間の問題だけに困難な部分も残される。だからこそ、賃上げ促進へのインセンティブを強化するなど、中小企業の価格転嫁を促すことが不可欠だ。
また、円安が日本経済に悪影響を及ぼしているとされるが、円安を活用したインバウンド需要の回復などによる地域経済の活性化も課題だ。対日直接投資の促進、農産物の輸出拡大など円安を追い風にした経済構造の強化も求められる。
さらに、科学技術やイノベーションへの投資、スタートアップの起業加速、GXやDXへの投資促進、コロナ対策や防災対策なども課題となっている。
立憲民主党は現在の経済状況を「生活氷河期」などと称して、経済対策を策定するなどと公言している。確かに、物価は2%程度の上昇を続けているが、輸出は横ばいになっているものの企業収益は好調で、就業率は女性雇用者の増加などによって上昇傾向が続いているし、1人当たり賃金は、前年比でプラスが継続。夏のボーナスも2018年以来の前年比プラスとなっている。
経済対策は現下の経済社会状況をしっかり見極め、必要な対策を着実に実行することだ。「生活氷河期」などと称して危機感ばかりをあおる政党には、真っ当な対策すら策定できないだろう。
(terracePRESS編集部)