金太郎飴のテレビが押し下げる内閣支持率
メディア各社の世論調査が発表されている。例えば、読売新聞などの調査では、安倍内閣への支持率は48%で、前月に比べほぼ横ばい、「支持しない」と答えた人は、前月より4ポイント増えて40%となっている。
内閣支持率については、政府主催の「桜を見る会」問題が影響したことは間違いない。政府は、「桜を見る会」の招待基準など運営に問題があることはいち早く認め、来年度の開催を中止し、あいまいだった招待基準などの見直しをすることを明言している。それにも関わらず内閣支持率は低下傾向にある。
事実、この世論調査でも「桜を見る会」をめぐる一連の問題について政府のこれまでの説明に「納得していない」と答えた人が75%だったのに対し、「納得している」は13%だった。こうした状況が内閣支持率にも影響しているわけだ。
しかし、政治に委ねられた経済社会の重要な課題は「桜を見る会」だけではない。経済の活性化も、社会保障の充実も、また災害対策も、すべて待ったなしで進めなければならないのだ。
だが、情報番組で朝から夜まで「桜を見る会」を取り上げているテレビを見ていれば、視聴者は国政の課題が「桜を見る会」しかないのだと思ってしまうだろう。
安倍首相後援会が開催した「前夜祭」に銀座の高級寿司店「久兵衛」が提供されていたなど虚偽の情報を垂れ流しにしながらも、それでも「桜を見る会」を取り上げ続けるテレビの思惑はいったいどこにあるのだろうか。
野党は、憲法改正に伴う国民投票について、テレビCMなど有料広告の規制を盛り込むよう主張している。これは、資金力のある政党がテレビのCMの枠を買って、CMを流し続ければ、世論が操作されてしまうというロジックだ。
実際は、CMであれば、どこの誰がそのCMを流したかを明示しなければならないから、視聴者にはどのような政党の主張なのかが明確に分かるはずだ。
しかし、これが番組内で取り上げる情報となると、まったく異なってくる。司会者やコメンテーターの一言が社会に影響を及ぼしてしまうのだ。それも視聴者が知らないうちにだ。
ましてやどの民放テレビでも、情報番組の司会者やコメンテーターが金太郎飴のような、一面的な物の見方しか示さないから、結局のところ、世論が形成されてしまうのだ。
繰り返しになるが、日本には多くの課題が山積している。テレビはそれを敢えて無視しているのか、そのようなことにすら気づかない思考停止状態なのかは分からないが、偏った報道にただただ血道をあげているのだ。
(terracePRESS編集部)