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2021.09.24

立憲民主党が農業のあり方も考えず「農業者戸別所得補償制度」復活

立憲民主党の枝野代表は先ごろ、「#政権取ったらこれをやる Vol.3 地域を守り、地域を活かす」を発表した。「地域を守り、地域を活かす」としているから地域政策全般と思いきや、地域の重要な経済資源でありながら新型コロナで打撃を受けた観光・飲食産業などは一言もない始末。地域活性化に向けて総合的にどうするかという視点は完全に欠如し、「農業者戸別所得補償制度」の復活を声高に叫んでいるだけだ。

 

「農業者戸別所得補償制度」は、米などの農産物の価格が生産コストを下回った場合に、国がその差額分を生産農家に補償する制度で、農家の経営安定対策だ。民主党政権が2010年に導入したが、政権交代に伴い2013年から「経営所得安定対策」に改称されている。

 

枝野氏は「#政権取ったらこれをやる Vol.3 地域を守り、地域を活かす」を発表した際、「多種多様な農業者が共生する、多様な農業を提案していきたい。そして、その具体的なやり方の1つとして、農業者戸別所得補償制度の復活を力強く訴えてまいりたいと思っている」と述べているが、「復活」というのは民主党政権時代に一度導入しているためだ。

 

しかし、国内農業は単に戸別所得補償をすればよいという状況ではない。販売農家(約145万人)の基幹的農業従事者の年齢をみると、最も多いのが65~70歳で、販売農家全体の27%を占める。次いで75歳以上が26%となり、65歳以上の占める割合は68%に達している。北海道では約40%、中国地区では82%を占める状況だ。

年齢層でみると、増えているのは65歳以上74歳までで、他はすべて減少しているのだ。

確かに、農家の経営安定対策は必要だが、戸別補償をすれば、それが農業対策になるとは決して言えない。

 

安倍政権やそれに続く菅政権では、農業を成長産業へと転換するために、農地の集積や所得補償、規制改革を3本柱として政策を展開、さらに輸出の拡大にも取り組んだ。特区で株式会社の農地所有による参入を容認した。

もちろん、地域に根ざした法人組織をどう作るか、担い手をどう確保するかといった視点も重要で、それには農業が魅力的な産業にならなければならない。

 

そして重要なことは「時間軸」だろう。販売農家の68%以上が65歳以上の高齢者になっているということは、残された時間がそうあるわけではないということだ。そうした状況の中で、農業を成長産業へと転換させなければならず、それができなければ食糧自給率は低下する一方となる。

 

枝野氏は「米の生産調整を政府主導に戻し、需給を安定化させる」と強調しているが、足元の経営安定化としては理解できるが、その先にどのような農業を目指すのかは一切説明していない。

 

いずれにしても、地域政策は1次産業対策だけではない。かつての民主党政権を生んだ原動力の1つが「農業者戸別所得補償制度」だったからと言って、それだけ言えば地域政策はこと足れりと考えているのなら、あまりにも安易だ。

 

(terracePRESS編集部)

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