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CATEGORY国土強靭化

DXと脱炭素も目標にした第5次社会資本整備計画

政府は先ごろ、2021年度から5年間のインフラ整備の基本方針を示す「第5次社会資本整備重点計画」を決定した。社会資本整備は国民が「真の豊かさ」を実感できる社会を構築するためのものだが、それにつけても思い出されるのが民主党政権時代の「コンクリートから人へ」だ。社会資本整備を悪と決めつけ、ダム事業などを凍結したものの、現実にはその後、必要性が再認識された。現実社会に基づかない民主党政権だったが、その政権で主要な役回りをしたのが、立憲民主党の枝野代表だったことを忘れてはならない。

 

今回の計画では短期的な目標として、従前の「防災・減災」「インフラメンテナンス」「持続可能な地域社会の形成」「経済成長を支える基盤整備」という4つに、新たに「インフラ分野のデジタル・トランスフォーメーション(DX)」と「脱炭素化」という2つの目標を加えている。

 

それというのも、激甚化・頻発化する自然災害や人口減少等による地域社会の変化、国内外の経済状況の変化、加速化するインフラの老朽化、デジタル革命の加速、グリーン社会の実現に向けた動き、ライフスタイルや価値観の多様化などに加え、「デジタル化の必要性、サプライチェーンの国内回帰、地方移住への関心の高まりや東京一極集中リスクの認識拡大」といった新型コロナウイルス感染症による変化など多くの課題が顕在化したためだ。

 

今回の計画でも、流域治水等の推進や災害に強い交通ネットワークの構築、計画的なインフラメンテナンスの推進、物流ネットワークの構築、地球温暖化対策など目標に沿ったさまざまな政策の展開が盛り込まれている。

 

いずれも今後の日本社会を構築する上で重要な政策であり、社会資本整備は立ち止まると、後になってその影響が出かねない。次世代にどのような国土を残すのか、問われるのは現役世代の責任だ。

 

民主党政権は「コンクリートから人へ」を合い言葉に、群馬県の八ッ場ダムと熊本県の川辺川ダムの建設を中止した。八ッ場ダムはその後、中止が撤回されたが、2019年の台風19号では、やっと試験湛水中だった同ダムの水位は満水位に近づいた。八ッ場ダムの有効貯水量は9千万立方メートルとされるが、急激な降水がそのまま利根川の下流域に流れこまなかったのは試験湛水中の八ッ場ダムがあったからだ。

 

一方、民主党政権と熊本県の蒲島郁夫知事が中止した川辺川ダムは、2020年の豪雨被害を受けて、見直しが始まった。当初のダムとは異なる形になるが、いずれにしても、短絡的に社会資本整備を中止した民主党政権の負の遺産ということになる。

 

枝野氏は「私には経験と教訓がある」などと口にしているが、社会資本整備のあり方を含めていったいどんな教訓を学んでいるのか。社会資本整備は、今後の国づくりをする上で重要なテーマだ。現実的な政治をするというが、どのような姿勢で社会資本を整備していくのか、未だ示していない。

 

(terracePRESS編集部)

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