野党合流の先に共産との連携
立憲民主党、国民民主党、社民党など野党の合流が現実味を帯びてきた。もちろん〝縁談〟は最後の最後までどうなるか分からないところがあるが、〝金欠〟が噂される立憲民主党の積極的なアプローチに、国民民主も前向きな協議をするというから、近くなんらかの結論が出るのだろう。
しかし、そんな野党の動きを冷静に見ているのが有権者で、読売新聞の世論調査によれば、立憲と国民などの合流に期待するかたずねたところ、「期待しない」が55%、「期待する」は30%だった。有権者の半数は期待していないのだ。
それも当然だろう。今回の合流話は結局のところ、悪夢のような民主党政権を作った旧民主党の再結集に過ぎない。
以前、この点について問われた立憲の枝野代表は「(現在の国会の)共同会派には社会民主党をはじめ、旧民主党、民進党ではない方を含めた幅広い皆さんが集っている。その皆さんすべてに呼びかけている」と否定してみせたが、現実はまごうことなき旧民主の再結集なのだ。
それも立憲民主党の名称で旧民主党の再結集を進めるというのが、枝野氏の戦略だ。
そして枝野氏の戦略は、もう一つある。それが何かと言えば共産党との協力だ。事実、枝野幸男氏と共産党の志位和夫委員長が先ごろ、都内で会談し、安倍晋三首相主催の「桜を見る会」の追及や次期衆院選に向けた連携・協力を深めることで一致したというのだ。
「桜を見る会」を取り上げたのは共産党だから、今後ともこの問題で歩調をとるというのは分かるが、ことの本質は次期衆院選でも連携しようというところだ。立憲、国民など野党各党が合流し、さらにその先には再編野党と共産党との連携があるわけだ。
改めて指摘するまでもないが、共産党は民主主義を否定する政党だ。
天皇制も認めないというのが、この党の本質だ。共産党は綱領で「日本の社会発展の次の段階では、資本主義を乗り越え、社会主義・共産主義の社会への前進をはかる社会主義的変革が、課題となる」と謳っており、社会主義、共産主義の社会を目指していることを明言している政党なのだ。
もちろん、共産党が政権を担えば、政府の批判などできなくなる。現在の野党は民主主義を最大限活用して政府批判をしているが、立憲や国民が連携しようとしている共産党が政権を担ったら、その時にこそ、彼らも民主主義のありがたみが分かるのだろう。
衆院選は政権選択の選挙にもなる。その選挙で共産党と連携を図るというのであれば、それは民主主義を否定する共産党の主張を容認するということにほかならないのだ。
(terracePRESS編集部)