民主主義無視する県民投票推進派

米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をめぐり、沖縄県で2月24日、県民投票が行われる。共産党などが主導するオール沖縄は、住宅地の真ん中にあり、世界一危険とされる普天間飛行場周辺住民の安全性を確保するための移設であることは一顧だにせず、県民投票をテコに、移設計画への反対を強めたい考えだ。

 

しかし、この投票は「辺野古米軍基地建設のための埋め立て」について「賛成」「反対」の意思表示を求めるもので、普天間飛行場の返還の是非や周辺住民の安全性確保の必要性などについて問うことをしておらず、あまりにも乱暴な設問となっている。

 

そもそも、辺野古に建設されるのは、米軍キャンプシュワブ内の陸上部分と沖合を利用した飛行場であり、この設問にあるような「基地」ではない。キャンプシュワブ内に新しく造られる飛行場、もしくは普天間飛行場の代替施設というのが正確な表現だ。

それを「辺野古米軍基地」と表記しているのは、何らかの意図を持った設問であり、県民投票自体、強い疑念があるものとなっている。

 

こうした中で、1月6日現在、宮古島、宜野湾の両市長が実施しない方針を示し、沖縄、うるま、糸満、石垣の市長は実施方針を示していない。つまり、この6市では投票実施の見通しが立っていないのだ。特に、宜野湾市は普天間飛行場がある地域で、その自治体が県民投票に参加しない県民投票であれば、意義は半減するしかない。

 

ところで、県民の投票に参加しない自治体が出ていることについて、地元メディアなどからは「民主主義の否定」という声が聞こえている。宜野湾市長が昨年12月に不参加を表明した際には、地元紙の琉球新報が紙面で「間接民主制を取る中で、住民の直接請求は、より成熟した民主主義に近づけるために保障された権利だ。議会や首長が市民の意思表示の機会を奪う行為に対し『民主主義の否定』と批判されても仕方がない」と指摘している。

 

確かに、この記事にあるように「間接民主制を取る中で、住民の直接請求は、より成熟した民主主義に近づけるために保障された権利」であることは間違いない。事実、今回の県民投票も、住民の署名によって投票条例が制定されたもので、直接請求制度が活用されたのだ。

 

しかし、その条例に基づく県民投票は、住民の直接請求ではない。住民投票を地方自治法で規定された直接請求と混同しているのだ。

住民の署名活動という直接請求の結果、間接民主制である沖縄県議会で条例が制定されているのだから、民主主義の否定でも何でもない。

 

ましてや、宜野湾市などのように、県民投票に伴う事務経費の支出が議会で認められなければ、参加できないのは当然であり、もし、この間接民主制の手続きを無視して、「それでも県民投票に参加すべき」という主張こそ、民主主義の否定に他ならない。

 

民主主義はデュー・プロセス・オブ・ロー、いわゆる法的手続きを無視しては成立しえない。それを、地方議会の決定を無視して、一方的に「民主主義の否定」と批判する行為こそ、民主主義への挑戦だ。