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海警法半年、海保の強化が不可欠

尖閣諸島周辺の領海などに中国海警局の船舶が断続的に侵入を繰り返しているが、その海警局に武器使用を認める「海警法」が2月に同国で施行されてから半年が経過した。この半年で中国海警局の船舶が尖閣諸島周辺海域で武器を使用することはなかったが、日本の漁船追跡などの威圧的行為を繰り返している。日本は各国に対して、日本の立場を理解してもらうための外交活動や海上保安庁強化などが不可欠だ。

 

中国海警局はもともと中国の国家海洋局傘下に所属していたが、2018年3月に武警部隊の隷下になった。武警部隊はその2カ月前に中央軍事委員会の指揮下に統一されていたので、海警局は非軍事組織から軍事組織の中核ともいえる中央軍事委員会の指揮下に入ったわけだ。

 

そして今年の2月1日、「中国海警法」が施行された。同法では、外国軍用船舶などによる違反行為に対しては「強制退去等の措置が可能」としているほか、「国家主権などが海上で外国の組織、個人から不法侵害を受けた場合、武器の使用を含む一切の必要な措置」を取ることを認めた。

 

ここで問題となるのが、海警法の適用範囲だ。同法第3条では「中国の管轄海域とその上空」を適用範囲としている。同法には明確に定義されていないが「中華人民共和国の内水、領海、接続水域、排他的経済水域、大陸棚及び中華人民共和国が管轄するその他の海域」と解釈されているという。

 

海上保安庁などによるとこの半年間で尖閣諸島周辺の領海侵入は26日間、延べ66隻に及んでいる。海警法施行後、領海侵入が急増したわけではないが、領海侵入は着実に継続されている。

 

中国は国際的な問題に対応する際はサラミ戦術を採用すると言われている。それは、サラミを薄く切るように、小さな行動の積み重ねで、時間の経過と共に中国に有利な戦略的環境を作り出すというモノだ。非日常の行動を継続し、やがてそれを日常にする。

 

中国側では公式には尖閣諸島、中国名では魚釣島と呼び、それを中国の領土と主張しているが、本音のところでは日本の領土であることを認識しているのだろう。だからこそ日本の主張に対抗するため、サラミ戦術によって少しずつ中国の施政下にあることを既成事実化しようとしているのだろう。

 

岸防衛相は7月30日の記者会見で、「今後も海警法に対する懸念を共有し、力を背景とした一方的な現状変更の試みに反対していくという強いメッセージを国際社会に向けて発信していく」と述べているが、日本としては国際社会の理解を求めながら、尖閣諸島の現場では、海上保安庁の巡視船による海警局船舶への絶え間ない警告や監視活動が不可欠だ。また、尖閣諸島が日米安保条約の適用範囲であることを確認し続けることも重要だ。

 

さらに重要なことは、尖閣諸島が日本の領土であることを国民が等しく認識し、政府と一体となって中国の行動を抑止することだろう。

(terracePRESS編集部)

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