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2021.03.03

「新たな旅のスタイル」創出など観光の活性化が急務

新型コロナウイルス感染症による経済的打撃が最も深刻なのは観光産業だろう。時短営業を要請された飲食店も、個人経営などの飲食店を除けば苦境に直面していることは間違いないが、それに輪をかけて打撃を受けているのが、地域によっては経済の要となっている観光業だ。菅政権は、国内旅行の需要を強力に喚起しながら、本格的なインバウンド回復への準備を進め、観光活性化につなげる方針だ。

 

観光業には全国で約900万人が従事しているとされ、雇用の維持と事業の継続が地域経済にとって重要となっている。

このため政府は、感染拡大の防止を徹底することを前提に、当面の観光需要の回復を担うのは日本人の国内旅行として需要喚起を強力に進め、その一方で本格的なインバウンド回復に備えた取り組みを進める方針だ。

 

需要喚起策として「Go Toトラベル事業」の延長は当然として、観光客を受け入れるために国の支援によるホテル、旅館、観光街などの再生を行う。

そのため、観光施設を再生して地域全体で魅力と収益力を高めるための新たな補助制度を創設したり、融資制度を大幅に拡充したりして、〝短期集中〟で強力に支援する。

 

具体的には、補助制度では、観光施設全体が再生できるような施設改修を対象にし、経営革新などの専門家による支援制度も創設。地域の観光まちづくりの取り組みと連携した廃屋の撤去などについても新たに支援し、一挙に観光地としての景観を改善することを目指すことなどを想定している。

 

また、国内外の観光客を惹きつける滞在コンテンツの充実を図るため「地域に残る縦割りの打破と地域に眠る観光資源の磨き上げ」や「スノーリゾートやアドベンチャーツーリズム等の高付加価値・滞在型コンテンツの造成」「城や社寺、古民家、グランピング等の個性ある宿泊施設整備」「上質なサービスを求める観光客誘致のための環境整備」「デジタル技術を活用したコンテンツ磨き上げ」など、多様な施策を実施する。

さらに新規事業として「『新たな旅のスタイル』促進事業」も実施する。日本のこれまでの観光スタイルは、夏休みなど特定の時期に一斉に休暇取得する一方で、宿泊日数が短いといった特徴があり、観光消費額の伸び悩みが課題となっている。

一方、新型コロナによる社会変化を踏まえ、休暇取得の分散化を進めることが必要となっており、滞在型の「新たな旅のスタイル」を普及・促進するという。

 

テレワークを活用し、リゾート地・温泉地などで余暇を楽しみつつ仕事をする「ワーケーション」や、出張などの機会を活用し、出張先で滞在を延長するなどして余暇を楽しむという「プレジャー」、企業などの本拠から離れた所に設置されたオフィスで仕事を行う「サテライトオフィス」など、最近注目を集めている社会変化を核に、需要に対応した環境整備や、滞在型旅行実現のためのコンテンツ整備などを行うという。

 

観光業が地域経済の中核となっている限り、国内旅行もインバウンドも活性化することが、日本経済の再生につながる。感染防止とのバランスを取りながら、観光業を活性化させることが急務となっている。

 

(terracePRESS編集部)

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