選挙目当ての減税論

消費税の10%がスタートした。今回の税率引き上げに伴い、3歳から5歳までの幼児教育・保育の無償化がスタートするほか、年金額の少ない高齢者に年最大6万円の給付や介護保険料の軽減が行われる。

報道などでは商業施設の〝混乱〟などにスポット当て、今回の引き上げが国民にとってマイナスの影響が出ているように伝えられている。

しかし、今回の引き上げは、子供から高齢者までを対象とした全世代型社会保障制度改革の入り口だ。国民が安心できる社会の構築を進めるという視点に立てば、誰もが恩恵を受けることになるのだ。

 

ところで、野党の中でこの消費税について減税法案の提出が議論されているという。

共産党は「消費税減税に向けた野党の協議を開始し、(野党)共闘をさらに発展させることを心から呼びかける。『5%への減税』が野党の共通政策となるように、力をつくす」などとするコメントを出しているし、れいわ新選組の山本代表は「一人一人の生活、経済状況をみても、減税しかない、もっと言えば廃止しかない」と街頭演説で述べている。

国民民主党の玉木代表も記者団に「8%に下げるのか、5%に下げるのか。経済状況を注視しながら立場を決めていきたい」と語っている。

これこそまさに選挙目当ての減税論だ。

 

野党のロジックは極めて幼稚だ。基本的に国民が広く浅く負担する消費税を減税し、その分を所得税や法人税などで賄えば良いというシンプルな主張でしかない。事実、共産党は「大企業と富裕層に応分の負担を求めることを中心にすえた税財政改革を行う」としている。

 

しかし、消費税(付加価値税)は国際的にも定着した税制だ。各国の付加価値税の標準税率をみると、25%のスウェーデン、デンマークを筆頭に、イタリア22%、イギリス、フランス20%、ドイツ19%、ニュージーランド15%、中国13%となっており、日本、オーストラリア、日本が10%だ。

野党の主張に接すると、日本だけが特異な、国民から税金をむしり取っているように聞こえるが、決してそうではない。

それに、日本の場合、税率10%のうち2.2%相当分は地方税で、地方自治体の財源になっているのだ。

 

ちなみに、各国の法人税の税率フランスが31%、ドイツが29.89%、米国が27.98%、イタリアが24%、イギリスが19%となっている中で、日本は29.7%で、これも日本が格別低いわけではない。確かに企業への課税は、企業立地の国際間競争という点でみれば、一定程度、立地に魅力的な税体系にしておく必要があるし、その意味でこれまで引き下げてきたことはあるだろう。

しかし、共産党のいうように、政府が企業や富裕層を優遇するために消費税を上げているというわけではない。それは世界の潮流でもあるのだ。

 

ましてや、今回の引き上げ分は全世代型社会保障制度改革の入り口に活用される。それはダイナミックな政策だし、国民それぞれが恩恵を受けることになるのだ。

 

(TerracePRESS編集部)