ミサイル連発の北朝鮮に必要な制裁決議の徹底
北朝鮮がミサイルの発射を繰り返している。米国との交渉を探る〝瀬戸際外交〟との見方が一般的だが、着実に技術開発において進歩を見せている。今後は、国連を中心にして国際的な協力で北朝鮮への対応をすべきだが、そこで重要なのは日本のリーダーシップであり、制裁の完全実施に向け各国に呼びかけることが重要だ。
北朝鮮は1月30日、中距離弾道ミサイル「火星12」を発射した。これで1月のミサイル発射は7回に及んだ。「火星12」は、通常より角度をつけて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」で打ち上げられたが、通常の角度で打ち上げれば射程は最大でアメリカ・グアムにも届く5000キロに達するとみられている。
今後、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射などが行われれば、北朝鮮問題は新たなステージに入ることになり、アジアの緊張が高まることは間違いない。
こうした北朝鮮の動きに対し、米国、日本、インド、オーストラリアの4カ国(クアッド)外相が11日、オーストラリアのメルボルンで会合を開いた。共同声明で「国連安保理決議に違反し、不安定化をもたらす北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難し、国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントを再確認する」などと北朝鮮を牽制した。
またその後に行われた日米韓外相会合でも同様に、北朝鮮のミサイル発射を非難し、完全な非核化へのコミットメントを再確認した。
最近はウクライナ情勢や中国の覇権主義的な行動などが国際的な外交課題として注目されている陰で、北朝鮮問題の比重が再び大きくなってきた状況といえる。
北朝鮮問題で当面重要なことは、国連安保理決議による北朝鮮制裁を徹底することだ。そのためには各国による警戒監視活動が欠かせない。
この2月にも英国海軍哨戒艦「テイマー」が、安保理決議で禁止されている北朝鮮籍船舶の「瀬取り」を含む違法な海上活動を取り締まるため、東シナ海を含む日本周辺海域で警戒監視活動を行っている。
英国としては2018年以降7度目となる警戒監視活動となるが、欧州から遠く離れたアジアの一角でこうした活動をすることが、国際社会の一員としての責務だ。
もちろん日本も警戒監視活動に協力し、海上保安庁及び海上自衛隊が、安保理決議違反が疑われる船舶の情報収集をしており、各国と協力している。
北朝鮮問題を巡っては、日本は拉致被害者の救出という他国にはない課題も背負っている。北朝鮮が完全非核化を実施し、国際社会の一員として認められるような環境整備が拉致問題解決への道にもなる。
そのためにも日本は、国際社会の中で北朝鮮問題の解決に向け積極的なリーダーシップを発揮する必要がある。
(terracePRESS編集部)