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なぜ岸田政権が「後手」なのか

新型コロナウイルス感染症対策を巡って、野党やメディアが岸田首相に対し「後手」と批判している。確かにオミクロン株による感染者は急増したが、その急増に備えて岸田政権は着実に対策を進めてきたのが現実だ。野党やメディアは政権を批判さえすれば、国民や読者、視聴者の賛意を得られると考えているのだろうが、それは事実を伝えているものではない。

 

「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」を岸田政権がまとめたのは昨年11月12日のことだ。ちなみに当時の新規陽性者は1日200人程度で落ち着いた状況だった。この中で岸田政権は次の感染拡大に備え「取組の全体像」を策定したのだ。

 

この「全体像」は「最悪の事態を想定して、次の感染拡大に備える」とし「(2021年夏より)感染力が2倍を大きく超え、例えば感染力が3倍となり、医療がひっ迫するなど、それ以上の感染拡大が生じた場合には、強い行動制限を機動的に国民に求めるとともに、国の責任において、コロナ以外の通常医療の制限の下、緊急的な病床等を確保するための具体的措置を講ずる」などとしている。

 

岸田政権はこうした方針のもとで病床の確保などを推進してきたし、2月9日には東京都と大阪府に臨時の医療施設を約1000床増設する考えも表明した。

 

さらに「全体像」では、医療が逼迫するような事態になった場合について行動制限をすることも盛り込んでいる。具体的には「人との接触機会を可能な限り減らすため、例えば、飲食店の休業、施設の使用停止、イベントの中止、公共交通機関のダイヤの大幅見直し、職場の出勤者数の大幅削減、日中を含めた外出自粛の徹底など、状況に応じて、機動的に強い行動制限を伴う要請を行う」としている。こうした対応を状況に応じて行うことをあらかじめ決めている。

 

また「全体像」ではワクチンの3回目接種について「2回目接種完了から、概ね8か月以降に、追加接種対象者のうち、接種を希望する全ての方が追加接種を受けられるよう、体制を確保する」とした上で、「12月から追加接種を開始できるよう、都道府県及び市町村と緊密に連携を図りながら、適切に体制を整備する」と、追加接種の実施を盛り込んでいる。

 

そして厚労省は、自治体向けに昨年11月16日に発出した「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」で、「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において、追加接種(3回目接種)を行う必要があり、その実施の時期は2回目接種から概ね8か月以上後とすることが妥当であるとの見解が示された。1、2回目接種に引き続き、追加接種についても全国的に円滑な接種を実施していくことができるよう、追加接種に係る事務等について示す」と通知している。

 

3回目接種を巡っては、岸田首相は昨年10月8日の国会での所信表明演説で「希望する全ての方への2回のワクチン接種を進め、さらに、3回目のワクチン接種も行えるよう、しっかりと準備をしていく」と表明している。繰り返しになるが、こうした取り組みを開始したのは、まだ国内ではオミクロン株の脅威が顕在化していない時期だ。

 

3回目の接種は残念ながら自治体の対応遅れなどで速度が遅いが、少なくとも岸田政権が出たとこ勝負で対応が後手に回っているという見方は事実とは異なる。

 

(terracePRESS編集部)

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