国民民主党、政府予算案賛成の意味
2022年度の政府予算案が2月22日、衆院本会議で賛成多数で可決された。驚くべきことに、賛成には自民、公明の与党だけでなく、野党の国民民主党も加わったのだ。賛成したということは政府が編成した予算を支持し、その責任の一端を担うということだ。今年は参院選があるが、これで国民民主党が立憲民主党や共産党などと共闘態勢を組んだら、論理矛盾するということだ。
国民民主党の玉木代表は22日の衆院本会議で予算案に対する賛成討論を行った。そこでは、予算案について「不十分な点があるものの、以下の理由から賛成することを党として決定した」と述べ、①コロナ禍という緊急事態にあり、予算の早期成立が必要②(政府の)賃上げや人づくりを重視する姿勢は、国民民主党が先の衆院選でも掲げた「給料が上がる経済の実現」「人づくりこそ国づくり」と方向性において同じ③原油価格の高騰に対し「トリガー条項の凍結解除」によるガソリン値下げの検討を岸田首相が明言-の3点を示した。
トリガー条項の凍結解除については、ウクライナ情勢などによって今後、ガソリン価格が急騰する可能性もあり、だからこそ岸田首相も国民生活の安定を図るために検討を表明したのだろう。
国民民主党は先の衆院選の追加公約で「凍結解除」を掲げたが、当時よりも原油高騰の可能性がさらに高まった現状では、国民民主党が公約に入れていたかどうかは関係なく、岸田首相がガソリン価格の値下げを検討することは当然だ。
いずれにしても、玉木代表が首相の「凍結解除」の検討を表明したことを評価して予算案に賛成したことは確かだろう。メディアも一斉にそう報じた。
しかし、さらに注目すべきポイントがある。それは、玉木代表が岸田政権の賃上げや人づくりを重視する「新しい資本主義」を、国民民主党が掲げる「給料が上がる経済の実現」「人づくりこそ国づくり」と方向性が同じと評したことだ。
「新しい資本主義」は岸田政権の看板政策で、岸田政権の政策の中核をなすものだ。その「新しい資本主義」と国民民主党の政策の方向性が同じだというわけだ。
参院選をめぐっては野党共闘の行方が注目されている。共産党などは、立憲民主党、国民民主党が協力して1人区で野党統一候補を立候補させ、与党候補と〝激突〟する構図を作りたい考えだ。
しかし、その構図に国民民主党が入ることはもはや論理的にあり得ないだろう。「トリガー条項の凍結解除」だけが予算案への賛成理由ではないのだ。岸田政権の「新しい資本主義」と方向性が同じとまで表明したのだ。
新型コロナの収束はまだ見えていないが、日本はコロナ対策を進めながら経済の活性化も促進していかなければならない状況に直面している。そうした中で、批判や反対ばかりする政党の存在意義は乏しい。必要なのは、国民生活を安定させ、国民の生命財産を守る政党なのだ。
国民民主党は予算案に賛成したが、さらにそうした政党に生まれ変わるか否かが問われそうだ。
(terracePRESS編集部)