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重要性増す海上保安庁の役割

ウクライナへのロシアの侵略を指摘するまでもなく、国際社会は力で現状を変えるという考えが現在も存在する。アジアでも力で現状を変えるという試みは行われており、緊張は毎年、高まっている。そうした中で、岸田首相も先ごろの海上保安大学校の卒業・修了式で「主権を守り抜く。これに最前線で取り組んでいるのは海上保安官だ」と述べるなど、海上保安庁の役割は重要になっている。

 

海上保安庁は昨年4月1日現在で144隻の巡視船や238隻の巡視艇のほか、航空機などを保有し、海難救助のほか領海や排他的経済水域(EEZ)を守ることを重要な任務としている。

 

2001年12月22日には、東シナ海で北朝鮮の工作船とみられる不審船から海保巡視船が銃撃を受けたため応戦、工作船が自爆して沈没した「九州南西海域工作船事件」が発生している。

 

また2010年9月7日には尖閣諸島付近の海域で、違法操業していた中国籍の漁船が海保の巡視船に体当たりする事件が発生。海保が船長らを逮捕したが、当時の民主党の菅直人政権は、中国の要求に応えてその船長を釈放。領海を守るという政府の重要な責務を放棄したことも記憶に新しい。

 

いずれにしても、こうした経緯を経て現在は、日本固有の領土である尖閣諸島周辺海域への中国船の侵入などが相次いでおり、岸田首相も卒業・修了式で「尖閣諸島周辺海域では、ほぼ毎日、中国海警船が航行し、我が国領海への侵入も繰り返されている。日本海大和堆周辺海域では、外国漁船による違法操業が後を絶たない」と指摘。

 

その上で「今、国際社会は、海を巡って様々な課題に直面している。これらの課題は、力ではなく、法やルールによって解決されなければならない。『法の支配する平和で安全な海』の実現が、地域の平和と繁栄に寄与する。このことを国際社会で共有していくことが重要だ」と強調している。

 

尖閣諸島に関して中国は、1970年代から領有権を主張し始めており、最近では中国海警局の船の領海侵入が相次いでいることに加え、測量した地形図の公表などをしている。また中国船の領海侵入に日本政府が抗議したことに対し、中国外務省は「主権を守る正当な行為だ」と主張している。

 

中国は、南シナ海の南沙諸島などで領有権を主張、人工島の軍事要塞化を進めているが、これについても中国外務省は「自国の領土で防衛施設を配備するのは当然の権利だ」と主張している。

 

中国は南沙諸島でも尖閣諸島でも同じように自国の領土と主張している。尖閣諸島でも中国がいつ南沙諸島でのような行動を起こすか分からないのだ。そうしたことが起きないようにするのも海上保安庁の役割だ。

 

(terracePRESS編集部)

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