愕然とする野党的思考
野党の存在感がほとんどなくなっている。少し話題になるのは予算案に賛成した国民民主党ぐらいで、メディアの世論調査をみてもいずれも支持率数パーセントというお粗末さ。野党はことあるごとに政府に対し「国民の声を聞け」と注文をつけるが、国民から全く遊離しているのが野党だ。
なにしろ野党は国民の支持を得られていない。NHKの3月の世論調査の政党支持率をみると、自民党が38.4%だったのに対して、立憲民主党が5.9%、共産党が2.3%、国民民主党にいたっては1.0%にすぎない。
同調査でロシアの軍事侵攻に対する政府の対応について「大いに評価する」「評価する」を合わせると58%、新型コロナ対策では同様に57%が評価し、これらの結果、内閣支持率は53%になっている。
つまり、政府与党の取り組みがそれだけ順調、堅実に進められているということだろう。
そうした中で目を引いたのが国民民主党の予算案への賛成だ。資源高や円安が進んでいる中で、ガソリン価格が高騰しており、ガソリン税を低くするためのトリガー条項の解除を求めることを掲げ、与党が協議に応じたことで、予算案の賛成に踏み切った形だ。
ところで、その国民民主党の前原代表代行がTBS系のJNNのインタビューに答えている。予算案への賛成を容認しなかった前原氏は、玉木代表と予算案への対応をめぐり協議したことを説明する中で、党内は賛成する意向の議員が多かったことを認めながら、その理由として「『とにかく他の野党と同じ行動を取っていたら埋没する。是々非々で』ということでありました」と説明している。
この「他の野党と同じ行動を取っていたら埋没する」という言葉が誰のものなのかは明らかではないが、こうした声が党内の考えを代弁しているとしたら、トリガー条項の凍結解除の要請も、予算案への賛成も、他の野党対策、すなわち選挙対策ということだろう。単なる国民民主党の生き残りのための行動ということになる。
では、前原氏が正論を述べたかと言うこと、これもまた違う。前原氏は立憲民主党の泉代表が参院選1人区での候補者調整を求めていることについて、「国民民主として応じる考えはあるか?」と問われ、「しっかりと大局に立って候補者調整していきたいと思っている」と答えている。
その上で立憲岡田克也氏らと協議したことに関し「目標とか大局観というのは一致しているんじゃないかと思う」と述べている。
立憲が求めているのは、1人区での野党共闘だ。野党が一致して候補者を擁立し、自民党候補者に勝つことだ。しかし、各野党が、政党としての「目標とか大局観」が一致しているわけがない。国民民主党と共産党とは、異なる世界観、政治観を持っているはずだ。
それにも関わらず「目標とか大局観」が一致しているというのは、その「目標とか大局観」が参院選で勝利するということなのだ。
こうした経緯を見れば、玉木代表も前原氏も、その方向性は違っても、参院選対策では行動を共にしているということだ。
ウクライナ情勢でも新型コロナでも、政府与党は堅実に対応を進め、それを国民は評価している。一方、野党の頭の中は選挙だけ。これでは国民の支持が集まらないのは当然だ。
(terracePRESS編集部)