GDP大幅減だからこそ果敢な挑戦を
内閣府が18日公表した今年1~3月期(2019年度第4四半期)の国内総生産(GDP)の1次速報は、物価の変動を除いた実質(季節調整値)で前期より0.9%減となった。
これにより、2019年度の実質GDPはマイナス0.1%となった。
仮に、0.9%減が1年続いた場合の年率換算は3.4%減となるが、新型コロナウイルス感染症対策により2020年4、5月は経済活動の縮小を余儀なくされており、2020年度第1四半期はさらに落ち込むことも予想されている。
1~3月期を項目別にみると、GDP全体の半分以上を占める個人消費が前期比0.7%減、企業の設備投資は0.5%減、住宅投資も4.5%減に加え、輸出も6.0%減となっており、新型コロナが国内外の経済に大きく影を落とした。
政府はすでに、全体の事業規模が117兆1000億円で、財政支出が48兆4000億円に達する「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を策定している。
それ以前に、2019年度に災害対策などを柱にした総合経済対策を策定しているほか、その後新型コロナの緊急対応策の第1弾、第2弾も行っている。
つまり、経済対策としては「総合経済対策」「新型コロナ緊急対応策第1弾」「第2弾」「緊急経済対策」がすでにあり、当面はこれで対応しなければならない。
それらのGDPの下支え、押し上げ効果をみると、「総合経済対策」は1.1%、「緊急対応策第1弾」「第2弾」「緊急経済対策」で3.3%、計4.4%程度の効果があると見込まれている。
もちろん、国民1人当たり10万円の特別定額給付金も、国民が消費に回さなければ想定通りの効果を発揮しないことも考えられるため、残念ながら下支え・押し上げ効果も確定的なものではない。
いずれにしても、これまでの対策などによる4.4%程度の下支え効果で、経済の縮小を抑制できるかどうかは不確実だ。
6月以降の日本経済の縮小を抑制し、回復を確実なものとするためには、新型コロナの収束と、一定程度の制約はあるとしても経済活動の再開、国民生活の安定が必要となるだろう。
このため政府は、2020年度の予算の2次補正予算を策定する方針だ。それも「思い切った」(西村経済再生担当相)予算を策定する方針で、雇用調整助成金の拡充のほか、中小・小規模事業者への支援制度の創設、学生支援制度の創設など新たな対策を盛り込み、国民生活の安定を図る見込みだ。
2019年度の第4四半期のGDPは、確かに年率換算は3.4%減となるなど、日本経済は急激に落ち込む様相を呈している。しかし、現代世代が今の生活を確保するために、将来世代にも負担をお願いしたことも事実だ。だからこそ、政府と国民が一丸となって社会構造の変革に果敢に挑戦することで経済の回復に前向きに取り組み、将来世代が安心できる日本を構築する必要がある。
(terracePRESS編集部)