日米豪印4カ国でインド太平洋の安定を
日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国外相会合が先ごろ東京で開かれ、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、海洋安全保障や質の高いインフラの整備など、さまざまな分野で協力を深めることで一致した。菅政権がスタートして初めての日本で行われた閣僚級の多国間協議で、米国のポンペオ国務長官が「4者会談を地域と世界の利益に資する力とする菅首相のリーダーシップに感謝する」と述べるなど、菅政権の外交は上々のスタートを切った。
今回の4カ国外相会合は、昨年9月の米ニューヨーク以来で2度目の開催となった。この「自由で開かれたインド太平洋」構想は、アジア太平洋からインド洋、アフリカに至る地域で、法の支配や航行の自由など、ルールに基づく国際秩序を構築し、平和と繁栄を目指すものだ。
安倍前首相が4年前に提唱したもので、自由や民主主義という価値観を共有する4カ国の外相が協議し、国際秩序の維持に重要な責任を持つためさまざまな分野で協力する意義は大きい。
実際、中国は南シナ海や東シナ海で強硬的に海洋進出などを行っており、インド太平洋の既存の秩序に挑む中で、自由が失われる恐れがある。このため地域の安定を図ろうというのがこの4カ国協議で、今回の会合では4カ国会合を定例化することも決めた。
現在のアジア情勢を見れば、こうした国際協調が不可欠なのは当然で、朝日新聞でさえも社説で「外相会談の定例化にも合意したのは、中国の度重なる強引な行動への危機感からだろう。南シナ海や東シナ海での海洋進出などを受けて、地域の安定をはかろうとする動きに、中国が反発するとすれば筋違いだ」と指摘するほどだ。
ただ、朝日新聞は同社説で「既存の秩序に挑む中国の行動を抑えつつ、時間をかけて変化を促し、協調による共存をはかるほかない。米政府には、多国間の安全保障の枠組みに発展させたい考えもあるようだが、地域の緊張と分断を深める恐れがある。軍事とは切り離し、外交的な協力関係とすべきだ」と述べている。
「既存の秩序に挑む中国の行動を抑えつつ、時間をかけて変化を促し」と述べているのだが、おかしなことに「中国の行動を抑え」るのが誰なのかは明示すらしていない。
一方、読売新聞は社説で「共同訓練などを着実に重ねることが中国の独善的な行動への牽制となろう。日米豪印の協力が、経済やサイバー分野での安全保障に広がれば地域の安定に大きく寄与する」と指摘している。
米国は、中国が埋め立てた南シナ海の人工島の12カイリ(約22キロメートル)以内に艦船を派遣する「航行の自由」作戦を随時行っているが、それに加え、共同訓練などが「中国の行動を抑え」ることになるのだ。
朝日新聞はあえてその事実には触れず、あたかも外交的努力だけで解決するかのような主張をしている。まさに朝日的な解釈による読者のミスリードだろう。
(terracePRESS編集部)