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2020.10.15

問われる日本学術会議のあり方

日本学術会議の会員候補の任命問題をめぐり、野党や一部メディアが強硬に、任命を拒否した理由の説明を求めるなど政府批判を強めている。任命された会員は特別職の国家公務員になるため、首相が任命について判断するのは当然だ。問題の本質は、会員の任命問題ではなく、日本学術会議のあり方そのものだろう。

 

菅首相はメディアとのインタビューで「日本学術会議は、政府の機関であり年間10億円の予算を使って活動していること、また任命される会員は公務員の立場になるということ、また、会員の人選は推薦委員会などの仕組みがあるものの、現状では事実上自分の後任を指名する事も可能な仕組みとなっていること、こうしたことを考えて推薦された方をそのまま任命してきた前例を踏襲して良いのか考えていた」と6人を任命しなかった理由を説明している。

 

この説明で重要な点は「推薦された方をそのまま任命してきた前例を踏襲して良いのか」という問題意識だ。政府機関でありながら、学術会議自体が推薦してきた候補者をそのまま受け入れることは、認められるべきではないだろう。

また「現状では事実上自分の後任を指名する事も可能な仕組みとなっている」という点も重要で、どの分野でも研究上の師弟関係があることを考えれば、研究者の既得権益となっているに等しい。

そのような人事が行われてきたことを改革することが任命拒否につながったのだ。

 

しかし、この問題の本質は、人事も含めた日本学術会議のあり方そのものだ。同会議は、法律に基づく政府への勧告を2010年8月の「総合的な科学・技術政策の確立による

科学・技術研究の持続的振興に向けて」と題した勧告以来行っていない。

確かに、提言は多数出しているが、勧告は日本学術会議法第5条に「日本学術会議は、左の事項について、政府に勧告することができる」と規定された、重要な責務だ。その責務が果たされていないのが実態なのだ。

河野行政・規制改革相は記者会見で、日本学術会議について「年末に向けて予算、機構・定員について聖域なく、例外なく見る」と述べ、行政改革の対象として、運営や組織について見直しを検討すると表明した。

 

また、学術会議を所管する井上科学技術政策担当相も「科学の観点から社会的課題について提言していくという会議の役割がしっかり果たされているかどうか、河野氏や与党とも連携して十分に検証する」と述べている。

 

科学技術の振興は、競争が厳しくなってくる国際社会の中で、日本が現在の地位を維持するための重要な要素だ。また、経済大国として、科学技術によって人類に寄与することは日本の役割だ。

日本の学問を発展させるために、日本学術会議を抜本的に見直し、日本の学術を活性化させることは喫緊の課題となっている。

 

(terracePRESS編集部)

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