水際対策緩和で、現実的対応図った岸田首相
政府は3月1日から外国人の入国規制である水際対策を緩和する。主要先進国は、新型コロナが収束してない中でも緩和に踏み切っており、国際社会の中で日本が取り残されないための措置だが、G7で最も厳しい水準は維持する。今後、段階的に緩和していく見込みだが、新型コロナウイルス感染症対策と経済を両立させる重要な施策となる。
緩和の具体的な措置としては、原則7日間としていた入国者の待機期間を3日に短縮する。入国前検査と入国時検査に加え、3日目検査の陰性が条件で、これをクリアすれば3日間となる。
また、ワクチンの3回目追加接種者で、感染が落ち着いている非指定国からの入国者は、待機期間をゼロとし、外国人の新規入国については、受入責任者の管理の下、観光目的以外の新規入国者に限って認める。
受入企業、団体の申請手続は一元的にオンラインで行えるよう簡素化し、1日当たりの入国者数は現在の3500人から5000人とする。
入国者数制限は昨年3月に上限2000人程度、昨年8月に3500人、昨年の11月に5000人とし、その後、海外でのオミクロン株の発生を受け12月に3500人に再び減らしていたため、今回は昨年11月の段階に戻した形だ。
水際対策の緩和は、国際ビジネスはもちろん、技能実習生や留学生など海外との交流を再活性化することにもつながる。
事実、産業界や教育界などから、緩和を求める声が相次いでいており、今回の制限緩和についても「5000人上限では不十分」といった声があるのも事実だ。
岸田首相は17日の記者会見でこの点について「水際対策、一遍にこれを緩めるというのもまた現実的ではないと思います。まずは第1段階」、「やはり感染拡大と社会経済活動の維持のバランスというのが大変重要なポイント。そして、そのバランスを考える際のポイントは、感染状況を始め、様々な状況を総合的に判断するということだ」と述べている。
要は、感染状況と社会経済活動の維持というバランスの中で、どこまで緩和することが妥当かということを常に検討するということだろう。
前述したように、入国者数制限はこれまでもたびたび変更しており、「これで固定する」ということではない。
岸田首相も「これは絶えず考えていきたいと思う。あくまでも今回の措置は、まず第1弾ということで、段階的に緩和をしていく上の一つのステップだと思っている」と強調している。
オミクロン株のピークアウトが見え始めている中で、次のステップに進むためには、水際対策だけでなく、GoToトラベル事業なども状況を見ながら実施していくことが必要だ。感染対策と経済の両立を図ることが、国民の生活を安定させることにつながる。
(terracePRESS編集部)