立憲との共闘進めた日本維新の〝化けの皮〟
日本維新の会と立憲民主党の「共闘」が頓挫した。頓挫した原因は立憲・小西洋之参院議員の〝サル発言〟で、形としては〝凍結〟となっている。再開の条件について維新側は衆院憲法審幹事会での謝罪要求だが、立憲側はその要求を拒否し、両党の溝は深まるばかりだ。
しかし、この問題の根底には、保守政党を自認しながら〝立憲共産党〟とも揶揄される政党と共闘した日本維新の〝軽さ〟にある。水と油が共闘するのは単なる野合でしかなく、維新は、堅実で現実的な保守政治を望む有権者の期待を真っ向から裏切ったことになる。
12日の参院憲法審査会の幹事会では、維新の音喜多政調会長は、立憲に重ねて謝罪を求めたが、立憲の杉尾秀哉・野党筆頭幹事は拒否。杉尾氏は終了後、記者団に「維新に言われて、なんで謝罪しなきゃいけないのか」と反発したという。この杉尾氏の発言の背景には、立憲党内に小西議員を擁護する声があるからだろう。
小西氏のサル発言は、もちろん許されるべき発言ではないが、憲法改正に消極的な同党からすれば、衆院憲法審の毎週開催を「サルがやること」と断じたことに共感する議員も実際多いのだろう。
しかし、日本維新の会は憲法改正を綱領に掲げる政党だ。立憲とは基本的な政治姿勢が180度異なる。その憲法観の違いが、小西議員の「サル発言」をめぐる両党のさや当てとなって噴出したわけだ。
もちろん、憲法だけではない。安全保障でも維新は立憲民主党と考え方が異なっていることは周知の通りだ。
そもそも、2023年度予算をめぐる国会審議で維新と立憲は共闘して臨んだわけだが、具体的な成果はまったくないのが実情で、もともと、共闘自体が〝砂上の楼閣〟だった。
問題は、立憲民主党が〝立憲共産党〟と揶揄される政党であることを認識していながら、共闘に踏み込んだ日本維新の会の政治的な浅薄さだ。有権者の保守層には保守の顔を見せながら、その一方で立憲の支持層までウイングを広げ党勢を拡大する、ただそれだけの目的で共闘したのだろう。それは維新の化けの皮が剥がれたことにほかならない。
「法の支配」「自由主義」「民主主義」の価値観を大事にし、現実的な安全保障政策や日本の現実に即した憲法の制定、伝統などを守りながら日本社会の安定的な発展を望む、そんな有権者の期待をばっさり切り捨て、単なる野合に突き進んだのが立憲との共闘だったのだ。
(terracePRESS編集部)