民主党政権と同じ過ち繰り返す立憲民主党
立憲民主党が先ごろ、次期総選挙での政権公約の第1弾として7項目を発表した。驚くべきことに7項目は「初閣議で直ちに決定する事項」だという。政治にスピード感は大事だが、各政策の実現可能性や実効性を考慮せずにただ前に進め、「初閣議で決定する」などとアピールするやり方は、人気取りに走ったかつての民主党政権とまったく同じだ。
立憲民主党が発表したのは「政権発足後、初閣議で直ちに決定する事項」と題した7項目で、①補正予算の編成②新型コロナ対策司令塔の設置③2022年度予算編成の見直し④日本学術会議人事で任命拒否された6名の任命⑤スリランカ人ウィシュマさん死亡事案における監視カメラ映像ならびに関係資料の公開⑥「赤木ファイル」関連文書の開示⑦森友・加計・「桜」問題真相解明チームの設置となっている。
枝野代表は「政権が代われば何が変わるのか、初閣議だけでもこれだけ変わる。現時点で国民の皆さんの関心も高く、明確にお約束ができる7点を選ばせていただいた。誰がやるかで政治は変わるということを、国民の皆さんに知っていただきたい」と述べている。
つまり、次期総選挙で立憲民主党が勝利して政権を獲得したら、最初の閣議でこの7項目を決定するというのだ。
民主党政権が発足した2009年9月16日、鳩山政権の初閣議では「国家戦略室」の設置を鳩山首相が指示し、続く閣僚懇談会では事務次官等会議の廃止、9月18日には国家戦略室と並ぶ新政権の目玉として行政刷新会議の設置が閣議決定されている。この国家戦略室は、経済全般の運営の基本方針や財政運営の基本、その他の重要な政策を検討することで、発足後、国家戦略局への変更が予定されていたが、民主党政権時代に結局、実際にスタートすることはなかった。
野田政権では、その代わりに国家戦略会議を設置したが、結局、自民党の安倍政権の発足で廃止され、経済財政諮問会議が現実的な戦略を検討していることはいうまでもない。
このほか、鳩山政権が発足直後に決めた事務次官会議の廃止は、民主党政府と各省庁の距離を置くものとなったし、行政刷新会議も行政仕分けなどほとんど成果が上がらないものでしかなかった。
枝野氏は2021年度補正予算の編成や新型コロナ司令塔の設置、22年度予算編成の見直しなどを掲げたが、その必要性などの説明はほとんど行われていない。来年度予算の編成については「すでに概算要求が出ているが、今進んでいる国民生活に寄り添っていない時代錯誤の予算編成は抜本的に見直さざるを得ない。したがって、概算要求を抜本的に見直すことを決定し、指示をしたい」と述べているが、どのような点が、どのように「国民生活に寄り添っていない」のかの説明はない。
根拠がないまま、その政策が正しいのか否かの判断がないままに、「初閣議で決める」などと選挙目当てに言っているに過ぎないのだ。これではかつての民主党政権となんら変わらない。枝野氏は「誰がやるかで政治は変わる」と述べたが、立憲民主党がやると政治が混乱することを国民は知っている。
(terracePRESS編集部)