理解に苦しむ日韓問題での共産党の主張
政府は先ごろ、韓国への輸出管理手続きを見直した半導体の材料「レジスト」について、追加で輸出を許可したという。「レジスト」については、政府は8月上旬にも輸出を許可しており、今回が2例目とみられている。
輸出管理手続きの見直しの対象は「フッ化水素」「フッ化ポリイミド」「レジスト」の3品目で、安全保障上の観点から、2004年から特別に優遇して簡略化していた輸出手続きを2003年時点に戻すということで、特に輸出を規制するというものではない。個別に輸出申請があれば、それを審査し、問題がなければ許可をするものだ。
実際、すでに2回目の許可が出たわけで、政府が恣意的に韓国への輸出を認めないということではないことも証明された。安全保障上の問題が担保されれば、認めるというのが日本政府の姿勢だ。
ところで、この輸出管理手続きの見直しに続いて、政府は安全保障に関連する物品の輸出管理手続きを優遇する「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定している。
今回の政令改正で、いわゆる「ホワイト国」という呼称は使われなくなり「グループA」という呼称になり、ホワイト国は韓国を含め米国、英国、ドイツ、フランスなど27カ国だったが、新たなグループAは韓国を除く26カ国となる。韓国は一定要件を満たす「グループB」となり、特別待遇から他の多くの国々と同じ手続きが必要となる。
この見直しは国民も容認していて、共同通信の全国電話世論調査によると、韓国を貿易上の優遇措置を適用する「グループA」から除外した対応を「評価する」は68.1%に上っている。
韓国はこうした日本の措置を、いわゆる元徴用工をめぐる裁判の報復と位置付けている。しかし「レジスト」の輸出許可をみても明らかなように、日本は報復措置として行ったのではない。あくまでも日本が主張しているのは、安全保障上の観点からの措置ということだ。
しかし、この措置を報復と位置付けているのは韓国政府だけではない。共産党の志位委員長は先ごろ、「対韓輸出規制拡大の閣議決定の撤回を求める」との談話を公表している。
談話は、閣議決定について「この決定は、『徴用工』問題という政治的紛争の解決の手段として貿易問題を使うという、政経分離の原則に反する道理のないものである。わが党の警告にもかかわらず、安倍政権が閣議決定を強行したことは、きわめて遺憾である」などと指摘、政府の決定を批判している。元徴用工問題とホワイト国除外を結び付ける韓国の主張そのままだ。
百歩譲って、ホワイト国の除外と政治的紛争を一方的に関連付けるのをよしとしても、その政治的紛争を解決するよう韓国側に求めるのも国民の利益を守るべき日本の政党の責務のはずだ。しかし、共産党にはそんな気はさらさらないようだ。なぜ共産党は韓国の主張そのままなのか、理解に苦しむところだ。
(terracePRESS編集部)