憲政史上最長の安倍首相が挑む社会改革
安倍晋三首相が11月20日、首相の通算在職日数が計2887日となり、明治、大正期に首相を3回務めた桂太郎の2886日を超えて、憲政史上最長となった。
令和になって安倍首相が憲政史上最長の在職日数を迎えるのは、日本にとっても意義深いことだ。
安倍首相は2006年9月に51歳の若さ、戦後最年少の首相となったが、この第一次政権は、残念ながら体調不良などで約1年の短命に終わった。
第2次政権は2012年12月の衆院選に勝利し、民主党政権から政権を奪い返したことでスタートした。今はもう多くの国民の記憶から薄らいでしまっているだろうが、当時の日本の経済状況は最悪だった。中小企業の倒産が相次ぎ、雇用は失われ、家計もズタズタだったのだ。
こうした状況を打破するために安倍首相が掲げたのが「アベノミクス」だ。「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の3つの政策、つまり「3本の矢」を駆使して最悪だった経済状況を見事に回復させた。
事実、2012年12月の有効求人倍率は0.83倍でしかなかったが、2019年4月には1.63倍と約45年ぶりの高水準となった。半世紀ぶりに近い高水準だ。当然のことだが、雇用の安定は家計の回復ももたらした。
このように安倍政権のカジ取りで足元の経済は回復したのだが、実は、安倍政権の存在意義は、この経済の回復だけではない。国内を見れば少子高齢化の急激に進展し、世界的に見れば、すべてのモノがインターネットにつながる「IoT時代」の突入が不可避になり、またアジア情勢も緊迫の度合いを増している。
こうした環境変化にあわせるかのように、日本は平成から令和の時代に変わったわけだが、安倍首相の存在意義は、令和時代になっても日本が持続的に発展できるような社会を構築する、つまり日本の構造改革に果敢に挑戦していることなのだ。
例えば、働き方改革では、時間外労働に歯止めをかけるため、労働基準法を約70年ぶりに改正したし、国民の生命、財産の確保を一層強固にするため、集団的自衛権の限定的行使を認めた安全保障関連法を成立させた。さらに憲法改正の必要性も訴えている。
社会全体の改革としては、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムで、経済発展と社会的課題の解決を両立する新たな未来社会「Society 5.0(ソサエティー5.0)」として提唱し、実現に向けてさまざまな施策を実施している。さらに地方の活性化も安倍政権の重要な政策課題として取り組んでいるのだ。
現在の安倍政権は「安倍1強」とよばれ、自民党内に首相に代わる人材はまだ見えていないし、野党は多弱となっている。しかし、こうした周辺環境は偶然の産物ではない。
安倍首相が経済の回復、社会の構造改革に果敢に挑んできたからこそ、〝ライバル〟がいなくなったのだ。
安倍首相は「デフレからの脱却、最大の課題である少子高齢化への挑戦、戦後日本外交の総決算、そしてその先には憲法改正もある。これからもチャレンジャーの気持ちで、令和の新しい時代を作っていくための挑戦を続けていきたい」と述べているが、令和の時代に平和で暮らしやすい社会を構築するために必要なのは国民の支援だろう。
(terracePRESS編集部)