辻元氏の無意味な質問の被害者は国民
国内で新型肺炎による初めての死者が出た。死亡したのは80代の女性で渡航歴がなかったという。新型肺炎がまん延しないことを心から祈っているというのが、国民の現在の率直な感情だ。それだけに政府にはしっかりとした対応を望んでいる。
ところが、その新型肺炎対策を議論すべき国会が、相も変わらずのていたらくだから、国民は失望するばかりだ。
安倍首相が12日の衆院予算委員会で、立憲民主党の辻元清美氏が質問を終えた際、「意味のない質問だよ」と不規則発言したことが問題になった。辻元氏は質問の最後に 「総理、最後に申し上げる。『タイは頭から腐る』という言葉、ご存じか」と切り出し、桜の会や森友、加計学園のことなどを引き合いに出し「原因はタイの頭。頭を代えるしかないのではないか」などと結んだ。
安倍首相は次の質問者である立憲の逢坂氏の質問に答える形で不規則発言をした経緯について「最後のところで、辻元委員がずっと私に質問ではなくて、罵詈雑言の連続だった。頭から腐ると、腐ってる本体が私であると。これを言い続けた。政策に関わりなく。私に反論する機会を与えずに繰り返された。テレビ(中継)つきで。それで終えられた後、それはあまりにも、こんなやり取りじゃ無意味じゃないかということを申し上げた。当然、そう思うじゃないですか。一方的にここでののしる。ここは質疑の場であって、一方的にののしる場なのか? 私はそうだとは思わない。私は、それでは質疑は無意味になってしまうと思ったから、これじゃ無意味じゃないかと申し上げたわけだ」と丁寧に説明している。
辻元氏は安倍首相が勝手に首相をやっていると考えているのかもしれないが、安倍首相は多くの国民が支持している首相だ。それを腐ったタイになぞらえることが、国会で求められる議論なのか。まるで喧嘩する子供のようではないか。それも一方的に非難し、首相には反論する機会も与えられなかったのだ。まさに首相がいう「罵詈雑言」だったのだ。
しかし、安倍首相の真意は別なところにあったのかもしれない。今まさに、日本で求められているのは新型肺炎対策だ。それ以外にも予算関連で災害対策や社会保障の充実など、議論することはほかにもたくさんある。
やれ「桜を見る会」だ、森友だ、加計だという時間はないのだ。それにいずれのテーマもさんざん議論してきたものだ。
安倍首相は、そんな重大な時期の国会にありながら、首相を批判するためだけの質問に終始し、建設的な議論をまったくしない辻元氏の質問にあきれ返ったのではないか。首相に「もう少しまともな議論をするべき」との思いがあって、それが最後のタイを引き合いに出した「罵詈雑言」を聞き、うっ積していたものが不規則発言になったのではないか。
メディアは、あの場面だけを切り取って、「安倍首相がヤジ」と報じているが、事の真実は、国会議員としての職務放棄ともいえる辻元氏の無意味な質問にあり、その被害者は国民なのだ。
(terracePRESS編集部)