政府の在り方で雲泥の差の菅首相と枝野立憲代表
新型コロナウイルス感染症、少子高齢化、緊張が高まるアジア情勢など新たな社会の構築が必須となっている中で、菅首相と立憲民主党の枝野代表がそれぞれ、政府改革を課題として提起している。日本経済の成長を確実なものとし、国民が安心して暮らせる社会を作るための政府改革、行政改革だが、中身を比べれば、菅氏が目指す改革が現実的で、大きな可能性を秘めているのに対し、立憲案は選挙目当ての人気取りにすぎないことが分かる。
菅首相は記者会見で「自助・共助・公助、そして絆」を目指す社会像とした上で「国民から信頼される政府を目指す。そのためには行政の縦割り、既得権益、そして悪しき前例主義、こうしたものを打ち破って、規制改革を全力で進める。国民のためになる、ために働く内閣をつくる」と述べている。
霞が関の省庁など国の行政組織が陥っている縦割り、既得権益、前例主義などを打破する行政改革を実施すると同時に、行政組織が関与している規制を改革し、新しい市場を創出し、経済の活性化を目指している。
既得権を認めるのではなく、事業評価などにより事業や組織を見直し、新しい社会にふさわしい国民のための行政組織を作ることで社会や経済を活性化できるのだ。
行政改革とは異なるが、携帯電話の料金引き下げにしても、引き下げで可処分所得が増加すれば、新しい市場に寄与できる。
菅政権の政策で重要な点は、こうした改革により「自助」ができる社会を作り、同時に政府がセーフティーネットで守るということだ。
これに対して枝野氏が目指す政府はどのようなものだろう。9月23日の記者会見では「新自由主義的な自由民主党に対して、私たちは『支え合う社会』と言い方をしているが、相互の、国民同士の協力によって、さまざまなリスクや、あるいは障害を乗り越えるために、政府が積極的な仕事をするという立ち位置を明確にした」と述べている。
この主張からは、どのような改革をするのかは皆目分からない。しかし「政府が積極的に仕事をする」、つまり関与する度合いを深めるということであれば、少なくとも「小さな政府」は目指さないということになる。政府の大きさは国民の税負担にも直結する。政府が大きくなり、国民の生活に関与するようになれば、それだけ国民の負担率は上がるということだ。枝野代表は「新自由主義」と一面だけをみて批判しているが、大きな政府を目指すのであれば、国民の負担も増えることを同時に語るべきだ。
これに対して、菅首相の場合は、ただ単に小さい政府を目指すのではなく、組織の見直し、既得権益の見直しなどで政府組織の在り方を見直し、それにより国民のために働く政府を作るというわけだ。どちらがより現実的で国民のためになる行政になるかは自ずと答えが出るだろう。
(terracePRESS編集部)