「Go To トラベル」で新生活の定着を
新型コロナウイルス感染症の拡大防止と経済の両立が求められる中、現在、地域経済のけん引役ともなる「Go To トラベル」事業の対象に10月1日から、東京都発着の旅行が追加される。「Go To トラベル」は7月末からの1カ月で約600万人泊に達しており、9月の4連休なども含めれば、さらに多くの旅行が行われたことは間違いない。
「Go To トラベル」は菅首相が官房長官時代から主導しており、感染拡大防止と経済の両立を図るという菅政権のアプローチは着々と実績を上げている。
西村経済再生担当相は9月26日の記者会見で、経済の見通しについて「2022年の1~3月期にはコロナ前の水準に戻れるのではないかという見通しをもっている」と述べた。
西村担当相は「短期的には感染拡大防止をしっかりしながら経済社会活動を広げていくということなので、いわばこれまで踏んでいたブレーキを少しずつ上げていきながら、そしてアクセルを徐々に踏んでいくということになる。バランスを取りながらなので、売上が直ちに元に戻るというのは短期的には難しい。ただ、消費を刺激するという意味では来月からGo To トラベルで東京の発着が対象になるし、Go To イートも始まる。厳しい方の負担を軽減するとともに、消費の拡大にもつながると思う」と説明している。
「Go To トラベル」など各種の「Go To キャンペーン」の実施や拡充によって消費を喚起し、それにより景気を刺激することで、国内経済を回復軌道に持ち込もうという訳だ。もちろん、経済対策は「Go To キャンペーン」だけではないが、個人消費、経済の喚起という点では「Go To トラベル」は有効なことは間違いない。
しかし、実は「Go To キャンペーン」に負わされる役割は、景気対策だけではない。新型コロナウイルス感染症対策分科会は25日、「人の移動に関する分科会から政府への提言」を取りまとめている。提言では ①社会経済活動と感染防止の両立のための必須条件 ②「小規模分散型旅行」の更なる推進 ③感染拡大に備えて-の3項目の提言を盛り込んでいる。
その「社会経済活動と感染防止の両立のための必須条件」では「特にGO TOキャンペーン各事業においては、これまでの事業をとおした知見を踏まえながら、『新しい生活様式』を国民に定着してもらうための契機にして頂きたい」と言及している。
社会経済活動と感染防止の両立には「新しい生活様式」への移行が必須となるわけだが、分科会は「GO TOキャンペーン」に、新しい社会の定着を図る役割も与えているわけだ。もし、「Go To トラベル」により感染者が急増したら、それだけ日本ではまだ「新しい生活様式」が定着していないということになる。
「Go To トラベル」はスタート当初、「時期尚早」などメディアが批判を展開した。しかし、実態を見れば、多くの国民が利用し、景気にも寄与している。また、分科会の指摘のように「新しい生活様式」を定着させる契機にもなる。推進した安倍前政権、菅政権の功績は大きい。
(terracePRESS編集部)