大震災の復興に取り組む菅首相の思い
菅首相は9月26日、就任後初めての訪問先として福島を選び、東京電力福島第一原子力発電所、福島県双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館を視察した。菅政権は災害対策の促進や、東日本大震災など多くの災害による被害の復興を優先課題にしており、大震災からの復興も政府が率先して取り組む方針を表明した。
一部のメディアは、菅政権が初閣議で決定した内閣の基本方針に、震災や原発事故に関する記述がなかったことから、菅政権が大震災からの復興を軽視しているとの批判をしていた。
しかし、菅首相の言葉を借りれば「福島の復興なくして、東北の復興なし。東北の復興なくして、日本の再生なし」を内閣としての基本方針としているのが事実で、組閣の日に、菅首相が全閣僚に復興に取り組むよう指示書を渡している。
菅首相は第一原発などの視察後、10年目以降の復興創生期間の取り組みなどについて「復興は着実に進んでいる。そういう印象を持った。そしてこれからは、正にこの心のケア、こうした被災者支援や産業、なりわいの再生、こうしたことが大事だというふうに思っている。こうしたことに、正に政府あげて取り組む。また将来的に帰還困難区域、時間がかかろうとも、ここは最終的には全て解除して、皆さんがそこに住むことのできる、そうしたことを時間かけてもやり遂げたいと思っている。まず、特定復興再生拠点区域の整備を、着実に進めて、そこに住民の皆さんに住んでいただき、さらにその外に向けても時間をかけてもやり遂げたい。これが、私の政府の方針だ」と語っている。
こうした菅首相の考えに接すれば、菅政権が大震災からの復興を軽視しているとの批判が的外れであることが分かるだろう。
菅首相は今回の視察で、中・高校生らと懇談しているが、その事については「直接お話しをうかがい、正に地元と共に、この復興を、そして自分たちのことも将来に向けて進んでいこうという、非常に未来の明るい懇談だったというふうに思う。きっと、福島の復興、再生を担う人材や、また世界のリーダーになるような、そうした人が生まれるんではないかという予感を持った。期待している」などと述べている。
復興支援することが人材育成につながり、その中から福島だけでなく世界のリーダーが出てほしいとの願いは、まさに東北の秋田の農家に生まれ、〝たたき上げ〟で首相になった菅氏だからこそ吐露されたのだろう。
災害が多発する時代になって、被害からの復興は重要な政策課題だ。もちろん、被害を最少にするための災害対策も復興とならび重要で、菅政権はその認識のもと、災害対策、復興支援に注力することは間違いない事実だろう。
(terracePRESS編集部)