菅政権で動き出す新しい社会づくり
新型コロナウイルス感染症を受けた菅政権の新しい社会作りが、来年度からスタートする。各省は来年度予算で、新しい社会作りのため新規事業を立ち上げたり、これまでの予算を拡充させたりする方針で、新型コロナという国難をチャンスとして捉え、新型コロナで浮き彫りになった問題点の改善や規制・制度の改革、新事業の実施などを加速させる見込みだ。
経済産業省は来年度予算に向け、新型コロナ後の「新たな日常」を「デジタル経済などグローバルな構造変化への対応遅れを挽回し、少子高齢化や東京一極集中など日本の構造的問題を解決するチャンス」などと捉え、新型コロナを契機とした「新たなトレンド」として ①接触回避 ②職住不近接 ③ギグエコノミー(新しい働き方、無人化・AI化)④グローバリズムの修正-などと整理している。
その上で来年度予算の概算要求は「『新たな日常』の先取りによる成長戦略」との考えで策定した。
概算要求では「デジタル基盤・ルールの整備」や「デジタルを活用した産業構造の転換」「循環経済への転換」「国民の命を守る物資の確保」「予防・健康づくりの実現」「地域経済の強化と一極集中是正」などを目指し、様々な事業を盛り込んでいる。
また「成長戦略」以外では、廃炉・汚染水対策や福島の復興を着実に進めることを「最重要課題」と位置付けている。
国交省も「国民目線に立って、『縦割り』を超えた関係省庁の力強い連携のもと、感染症や自然災害等から国民の命と暮らしを守り抜き、未曾有の危機を克服し、コロナによる生活様式の変化に対応した「新たな日常」を実現することこそ、国の責務」との考えで、「新型コロナの影響などで危機に瀕する地域公共交通の確保・維持」や「生産性の向上や国際競争力の強化、リスクに強い社会経済構造の構築」「地域経済を支える観光の継続的支援」「東京一極集中型から多核連携型の国づくりに転換し、地方の魅力を活かし、豊かで暮らしやすい地域づくり」などを柱として概算要求を編成している。
特に東京一極集中の解消については「二拠点居住やワーケーションにも対応した多核連携型の国づくりに向けて、歩いて暮らせるゆとりとにぎわいあるまちづくりやグリーンインフラの導入等を通じた「コンパクト・プラス・ネットワーク」を推進するとともに、新技術等を活用した『スマートシティ』『次世代モビリティ』の社会実装を加速」とし、「都市のテレワーク拠点整備等への支援」や「感染症の拡大を踏まえた混雑回避等の新たなニーズに対応したMaaSの推進」など多様な事業を盛り込んでいる。
既得権益、前例踏襲主義の打破することで行政改革、規制改革などを推進する菅政権は新型コロナの収束と新しい社会の構築を重要課題としており、来年度から日本社会の〝改革〟が本格的に進みそうだ。
(terracePRESS編集部)