徴用工問題をプロパガンダに使う共産党

韓国の最高裁である韓国大法院が出した自称元徴用工の請求に対する判決をめぐり、共産党がプロパガンダを強めている。「個人の請求権は消滅していない」という点だけを取り上げ、日本政府の対応に非があると言わんばかりの〝宣伝活動〟を繰り返しているのだ。日本の政党であるはずの共産党だが、日本人、日本政府の権利を守るという考えは毛頭ないようだ。

 

共産党の志位和夫委員長は11月12日、午後、韓国の裁判で原告となった自称元徴用工の弁護士らと国会内で面会。志位氏は「両国間の請求権の問題が解決されたことは個人の請求権の消滅を意味しない。これは日本政府の立場でもある。その一致点を大事にして前向きの解決ができるのではないか」と語っている。

 

この弁護士は、新日鉄住金本社を訪問したが、同社は当然のことながら面会を拒否している。今回の不当判決には日本の官民が一体となって対応すべきだが、そうした中で志位氏は弁護士と面会し、「個人請求権は消滅していない」などと話し、原告側に理解を示したのだ。

 

また、志位氏は17日、文化放送番組「田村淳のNewsCLUB」に出演し、お笑いタレント「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんから「(自称元徴用工裁判の)この判決、政府の見解をどうみますか」と聞かれると、日本の侵略戦争・植民地支配と結びついた重大な人権問題としたうえで、「実は日本政府は、日韓請求権協定を締結したが、『個人の請求権が消滅したわけではない』と何度も国会答弁で認めているんですよ」と話している。

 

それを聞いた田村さんが「そうなんですか。すべて解決した問題だとぼくは認識していたんですが…」とびっくりする場面もあり、ラジオを聞いていた人にも影響を与えたことだろう。

 

日本政府の見解にあるように、1965年の「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」では、請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決されたことを確認されている。特に、協定の第2条の3では「(略)一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができない」と明確に記されている。

 

しかし、この規定と個人の請求権が消滅しているか否かは別問題だ。韓国の自称元徴用工の人々は、他方の締約国及びその国民、つまり日本政府と日本の国民に対して請求権を主張することはできないが、場合によれば日韓請求権協定に基づいて日本から莫大な援助を受けた韓国政府に請求することは可能なのだろう。つまり、日韓請求権協定で個人の請求権自体が消滅したわけではないということになる。

 

志位書記長はたぶん、そんなことは百も承知だろうが、あえて「個人の請求権が消滅したわけではない」と繰り返しているのだ。これを共産党のプロパガンダと言わずして、何をプロパガンダと呼べばいいのかと、言いたくなる。