「政権終わらせる」と言いながら政権構想示せない野党
先ごろの衆参補選・再選挙の結果を受け、立憲民主党や共産党など野党が、総選挙で菅政権を終わらせるとの姿勢を示している。内閣不信任案の提出にも積極的な方針を示しているが、実態は菅政権に代わる政権構想すら示していないという無責任さ。政権交代などと口にしたり、批判はしたりするが、現実的な政策の策定はできないという野党の体質は何も変わっていない。
衆院選で菅政権を終わらせると言いながらも、立憲民主、共産、国民民主の各党は、自党だけでは与党に対抗できない。このため、各党の選挙協力、総選挙のための共闘が必要になるのだが、総選挙は政権選択の選挙であり、政権構想を有権者に示す責務がある。
野党共闘で総選挙を戦うのであれば、共闘した野党が政権構想で一致する必要があるのだ。
しかし、この野党の政権構想が一向に示されない。というよりも、示すかどうかも不明だ。
立憲民主の枝野代表は4月26日、記者から政権構想について問われ「政権構想という言葉はよく踊るが、その政権で実現しようとする政策のことを指すのか、それともその枠組のことを指すのか、それからそこに向けた選挙戦略、選挙戦術のことを指すのか、多義的なので、そういった意味では、既に枝野政権で何を目指していくのかという概略は、かなり具体的なことは、この間の国会審議等を通じて示してきている。それを実現する政権をつくっていく」と意味不明なことを述べている。
枝野氏自身、このやりとりの中で、政権構想の定義の1つとして「政権の枠組み」があることを指摘しているが、その重要な枠組み、どのような連立政権になるのかさえ示すことすらできないのだ。
こうした状況の中で、国民民主党の玉木代表は4月28日の記者会見で、立憲民主党が共産党と次期衆院選の候補者調整に着手することについて、「共産が入る(連立)政権であれば入れない。選挙協力も政策調整もできない」と述べている。
もちろん、玉木代表が、仮に立憲と共産党が連立政権構想を打ち出した場合、最後まで参加しないかどうかは分からないが、少なくとも現時点では玉木代表の判断は正しいものだ。
共産党は、綱領で「社会主義的変革の中心は、主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化である」と謳っている。少なくとも生産手段を社会化するということは、中小企業であっても個人所有は認めないということだ。
私有財産については「保障される」とはしているが、中国でも私有財産は一定程度保障されているのだ。
つまり、共産党は民主主義や自由主義を否定する政党だ。そのような政党と連立政権どころか、協力をすることが国民の豊かな生活を守ることにつながるのか。選挙で与党と互角に争うためだけに共産党と手を組むことは民主政党の取るべき道ではない。
(terracePRESS編集部)