「政権奪取」するという野党の体たらく
いったい立憲民主党や共産党、国民民主党は責任政党と言えるのだろうか。あと3カ月のうちに衆院選が行われるのは確実なのにも関わらず、「政権を奪取する」といいながら、その政権像さえ示されない。そもそも政権奪取など絵空事と思っているのだろうが、それにしても野党の迷走、混迷は有権者不在でしかない。
野党の中でも立憲民主党の迷走ぶりは目を覆うばかりだ。最近の迷走の始まりは、前国会の終盤の内閣不信任決議案の提出だ。提出する方針を示したかと思うと、一転して消極的になり、それが野党内で批判されると提出する始末だった。
それだけではない。6月15日の内閣不信任決議案提出の趣旨説明で、枝野代表が「国会と国民の理解を得ながら、税率5%への時限的な消費税減税を目指す」と胸を張って述べたかと思ったら、本会議直後には一転して「選挙公約ではない。(趣旨説明の原稿を)読んでいただいた通りだ。政権として実現する」などと述べ、選挙公約にはしない考えを示した。
かと思ったら、その舌の根が未だ乾いていなかった25日には、時限的な5%への消費税減税を次期衆院選の公約に盛り込む考えを表明したのだ。
また、枝野幸男代表は6月17日、都内で開かれた連合中央執行委員会の会合に出席し、次期衆院選に向けた共産党との協力について「理念で違う部分があるので共産党との連立政権は考えていない。共有政策でのパーシャル(部分的)な連携や候補者一本化に努力したい」と述べている。
連合の神津会長も23日、都内での講演で、立憲民主党と共産党の連立などに関し「共産党は民主主義のルールに則って運営している組織とはいえない。そういう政党と連立することは全く意味不明」と指摘している。
その一方で、立憲民主党の安住国対委員長は7月5日、東京都議選で共産党との候補者一本化が奏功したとの認識を示し「リアルパワーは何なのかを冷静に見なければ」と述べ、共産党との選挙協力を進める考えを示している。
結局、こうした立憲民主党の姿勢をみれば、共産党との連立政権は否定するものの、選挙協力を積極的に進めるということなのだろう。
しかし、その一方の当事者である共産党の田村政策委員長は同9日の記者会見で「今度の衆院選は政権交代を目指したい。立憲民主党などとの政策の一致点を公約に掲げることになる」などと述べ、党綱領で掲げている日米安保条約の「廃棄」について、次期衆院選の政権公約には盛り込まない考えを示した。共産党はあくまでも立憲民主党との連立政権を目指すというわけだ。
共産党を含めた連立政権を目指すのか否かも示せない中で、野党の混迷はさらに深まり、
国民民主党の榛葉幹事長が7月7日、衆院選に向けた連合との政策協定について、共産党と連携する立憲民主党も含めた3者による締結には応じられないとして、連合に対し個別の締結を求めていく方針を明らかにしている。
野党は、「政権を奪取する」といいながら、消費税減税でぶれたり、安全保障という重要な政策をめぐり選挙向けの「安保容認」を打ち出したり、政権の枠組みさえも示せていないが有権者の姿など見えていないのだろう。
(terracePRESS編集部)