地方への人の流れを後押しする岸田政権
新型コロナウイルス感染症は、地方での生活など大都市圏から地方圏への人の流れを加速させる契機となりつつある。また岸田政権は「地方への人の流れの強化」を打ちだしている。企業が在宅勤務だけでなく、地方への本社移転やサテライトオフィスの開設をすることが日本社会を変えることになる。
総務省が先ごろ公表した「地方公共団体が誘致又は関与したサテライトオフィスの開設状況調査結果」によると、地方自治体が誘致したり関与したりしたサテライトオフィスの開設数は、2020年度末では916カ所となっている。2019年度末時点は710カ所だったが、新たに263カ所が開設する一方、57カ所が減少したという。
都道府県別に20年度末の開設数をみると、最も多いのが北海道の86カ所、次いで徳島県が77カ所、新潟県が57カ所、宮城県が52カ所、長野県が51カ所などとなっている。
「オフィスの形態」は、独自事務所が74%、シェアオフィスが25%となっており、「入居の形態」は、常駐の要員を配置して利用する「常駐型」が70%、常駐の要員を配置せず、短期的に利用する「循環型」が28%。「常駐型」オフィスの常駐社員数は1人から5人が58%となっているという。また、開設企業の業種は、「情報サービス業等」が71%となっている。
こうしたサテライトオフィスは地域に移住者の増加や地元人の雇用機会の創出、交流人口などの拡大、地元企業との連携による新たなビジネスの創出など、地域にとってさまざまな好影響をもたらす。
調査によると、「新型コロナウイルス感染症拡大前と比較したサテライトオフィス関する状況の変化」について自治体からは「都市部企業からコワーキングスペースやワーケーション体験についての問い合わせが増加」、「新しい生活様式が広く認知され、オンラインでの仕事が浸透し、サテライトオフィスで実施可能な業務の幅の拡大により、都市部企業の地方でのテレワークに対するハードルが低下」といった声が出ているという。
こうした状況を前提とすれば、現在は大都市から地方への人の流れを加速させるチャンスと言えるだろう。
岸田政権は、その「地方への人の流れを加速」させることを打ち出している。衆院選でも「ヒューマン」「デジタル」「グリーン」という3つの視点で、「地方への人の流れの強化」したり、「地方の仕事づくりと担い手の展開・支援」をしたりすることで、「地方経済の活性化に資するローカル・イノベーションを推進」することを強調している。
また、「テレワーク拠点の整備」「空き家・公営住宅の活用」をすることで、地方移転を希望する人材・企業・大学の受け入れ環境整備を進めることなども打ちだしている。
地方圏は、少子高齢化の進展で経済活力が衰退している中で、地域経済の中心である観光業などが新型コロナに直撃されており、地方再生は急務となっている。地方への人の流れを加速させる岸田政権への期待が高まっている。
(terracePRESS編集部)