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2022.04.27

当を得た自民党の国連改革提言

ロシアのウクライナへの侵略は、本来、国際平和の要となるべき国際連合、中でも安全保障理事会が機能しなかったことを明確にした。ロシアの行為は重大な国際法違反であり、国連憲章を踏みにじるものであるにもかかわらず、国連が影響力を行使できなかったことは明確な事実だ。そうした中、自民党が国連、安保理の改革に向け政府へ提言した。

 

安全保障理事会は、中国、フランス、ロシア、英国、米国の常任理事国5カ国と、任期2年の非常任理事国10カ国の計15カ国で構成。各理事国は1票の投票権を持ち、手続き事項は15理事国のうち少なくとも9理事国の賛成で決定する。

 

しかし、実質事項の決定には、5常任理事国の同意投票を含む9理事国の賛成投票が不可欠で、常任理事国が反対投票、つまり「拒否権」を行使すれば決議は否決される。

 

安全保障理事会は、戦闘の拡大を防ぐために停戦命令を出したり、軍事監視団や平和維持軍を派遣し、紛争地域の緊張緩和を図るための行動をしたりすることができるが、ロシアのウクライナ侵略を巡っては、その常任理事国のロシアが拒否権を行使するため、具体的な決定は何もできないということになる。

つまり、国連の規定が現在の状況に適応できていないわけだ。このため、ウクライナ以外の他の地域でも同様に、常任理事国が国連憲章に反し、国際法違反の行動を取った場合で、安保理はやはり機能不全に陥る可能性が高いことになる。

 

常任理事国5カ国は、第2次世界大戦の主要戦勝国だし、死文化してはいるものの、国連憲章には敗戦国である日本やドイツを「敵国」とする、いわゆる旧敵国条項もいまだに存在している。

 

日本は、ドイツ、ブラジル、インド(G4)と共に以前から、常任・非常任理事国双方の拡大を通じた国連安保理改革と、日本の常任理事国入りなどを各国へ働き掛けている。

 

こうした中で、自民党が政府に提言したのは、機能不全に陥る国連・安保理の改革の必要性からだ。国連・安保理改革に向け「長年活動してきたわが国が先頭に立って国際社会に道筋を示すこと」のほか、「安保理改革に向けてG4で連携し、建設的かつ積極的な外交努力を継続すること」、「拒否権行使の抑制について、早急な対応を取ること」、「国連憲章から『旧敵国条項』の削除を早期に実現するために適切な外交努力を継続すること-などを盛り込んでいる。

 

国連があれば、世界の平和が維持できるというのは幻想に過ぎない。ロシアのウクライナ侵略はそれをまざまざとみせつけた。まさに世界が無法状態になったかのような状況だ。

これに対応するには、まずは国連の改革が必要なことは論を待たない。しかし、一方で国連改革が容易ではないことも事実だろう。

 

だからこそ、今回の自民党の提言のように、日本が改革に向けてリーダーシップを発揮し、少しでも実現に向けて国際世論を形成することが必要だ。それを行うのが岸田政権の責務でもある。

 

(terracePRESS編集部)

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