「何とかさんなねな」は野党候補へのブーメラン

政権の揚げ足取りや、首相の言葉尻をとらえただけの質問など野党の政治力の劣化が問われている中で、さらに信じがたい野党候補が登場しそうだ。

 

夏の参院選山形選挙区(改選数1)で、野党候補として出馬する山形放送の元アナウンサーの芳賀道也氏のことだ。芳賀氏は無所属で立候補し、立憲民主、国民民主などが推薦するという。共産党はすでに公認候補を決めているが、芳賀陣営は共産党とも協議する。共産党が公認候補を降ろせば、野党共闘の非自民系候補者として一本化が実現する。

 

芳賀氏は山形放送のアナウンサーとしてテレビやラジオのニュース、情報番組などに出演。報道制作局制作部専任部長などを務めている。報道にも携わっているから、それなりの見識があるのだろう。

 

しかし、その期待は出馬の記者会見で見事に裏切られた。

芳賀氏が会見で語ったのは、「政治を市民、県民のもとに取り戻す分かりやすい政治をする。一言で言うと『何とかさんなねな』という思いに至った」というものだった。

 

別に、芳賀氏の「何とかさんなねな」が、東国原宮崎県知事が2007年2月の県議会の所信表明演説で発した「宮崎をどげんかせんと(どうにかしないと)いかん」というフレーズのパクリだ、というのではない。

 

芳賀氏は「政治を市民、県民に取り戻す分かりやすい政治」というが、これが具体的に何を示しているのか、皆目分からない。

政治が市民、県民から離れている状態とはいったいどういう状態を指しているのか。また、取り戻した状態とはどのような状態をいうのか。それが分からないまま、取り戻すと主張するのは、実は何も言っていないのと同じだ。

こうした聞こえが良いだけで曖昧で抽象的な言辞を使うことは、それだけで政治家としての資質を欠いている。

 

芳賀氏はまた「いまのよくわからない政治をよくわかる政治に取り戻したい」とも述べているが、これも、ほぼ中身のある発言とは言い難い。

 

芳賀氏は憲法改正について「緊急の課題ではない。安心して暮らせることが国民の悲願だ」と述べている。野党候補だから憲法改正を緊急の課題ではないというのも当然だろうが、日本を取り巻く環境が急速に変わりつつある中で、日本国民の生命、財産を守るために、政治家として何をなすべきかを示すべきだろう。

「政治を市民に取り戻す」という空疎な言説を繰り返すだけならば、政治家よりアナウンサーがふさわしいだろう。

 

(terracePRESS編集部)