足立氏「共産党は破防法の監視対象」の正論
「破防法(破壊活動防止法)の監視対象と連携する政党がまっとうな政党を標榜(ひょうぼう)するのはおかしいと考えているし、そう思う国民は少なくない」。日本維新の会の足立康史氏が2日未明の衆院本会議で、共産党をこう批判し、物議をかもした。
足立氏は、共産党と立憲民主党など野党の共闘を批判する文脈の中で発言しており、批判の矛先は、参院選で共産党との共闘を模索している立憲民主党や国民民主党にも及んでいる。
安倍内閣は2016年3月22日、国会議員の質問主意書に対し、共産党を「現在においても、破防法に基づく調査対象団体である」と指摘する答弁書を閣議決定し、これに対して共産党が猛反発している。
足立氏の発言はこの政府答弁書に基づくもので、その限りではなんら間違っていない。
事実、公安調査庁が毎年まとめている「内外情勢の回顧と展望」の「2019年1月版」でも、「国内情勢」では、共産党について「オウム真理教」「過激派」「右翼団体」「諸団体」と並んで動向を分析している。
共産党は、綱領や規約で明らかにしている通り、科学的社会主義を理論的な基礎とする政党だが、海外の多くの科学的社会主義を標榜した国々では、自由も人権も奪われた国民が、国家権力の非民主的な抑圧下で暮らさざるを得なかったことは歴史が示している通りだ。その抑圧に対する国民の猛烈な反発などで、ソ連や東欧などの社会主義国が相次いで崩壊したことも歴史的事実だ。
共産党の小池晃書記局長はツイッターで、足立氏の発言に対して「破防法には『調査対象団体』などと言う概念はない。これまたデマだ。公安調査庁は40年近くもわが党を『調査』しながら、暴力破壊活動の恐れのある団体として適用申請していない。わが党は党の正規の機関で『暴力革命の方針』」など一度もとっていないから当然だ」などと反論している。
これに対して足立氏も「小池さん、デマだというのは撤回された方がいい。でないと、名誉毀損で訴えます」と抗議している。
足立氏、小池氏のやり取りは「破防法に基づく調査対象団体」「暴力革命の方針」か否かなどに限定されているが、この問題の本質は、共産党が、科学的社会主義を理論的な基礎とする政党であるということだ。
そして、科学的社会主義の下では国民の自由も人権も制限されることは歴史が明らかにしており、仮に共産党が日本で政権を担うようなことがあれば、日本国民はそうした抑圧下で生存していかなければならなくなるということだ。
参院選を前に立憲民主党や国民民主党は、そのような政党と共闘するということについて、どのように国民に説明するのだろうか。有権者に対して共産党の目指すところを明らかにし、そのうえで共闘する正当性を説明する責任がある。単に選挙の議席目当てに共産党との共闘を進めるのであれば、それこそ〝日本を破壊する〟活動に他ならない。
(terracePRESS編集部)