嗤える野党の申し入れ
立憲民主党、国民民主党、日本共産党など6野党・会派の国対委員長が先ごろ、「立法府の信頼回復と異常事態の打開」のために、「与野党が真摯に協議する場を設ける」よう、大島理森衆院議長に申し入れたという。国会の立法・行政監視機能が危機的状況にあるというのが、申し入れの理由だという。どうやら野党側に言わせれば、野党側の言う出入国管理法などの〝強行採決〟や、安倍首相の外交日程優先なども立法府が異常事態に陥っている理由らしいら、これは嗤える申し入れだ。
「木を見て森を見ず」という言葉がある。物事を俯瞰してみることができなかったり、大局観が欠如していたりする様子を示す言葉だ。
野党側はこの部分が決定的に欠如し、それによって現在の国会の状況が生まれているということに気が付かないらしい。
その一つが、野党の質問があまりにもレベルが低いことだ。なんとか閣僚の失言を引き出そうとしたり、クイズのような質問をしたり、重箱の隅をつつくような質問をしたりと、これでは国会の質疑自体が劣化する。そこには政治を真摯に議論するという大局観などまるでない。その劣化した質疑をみて、有権者は野党から離れていく。
臨時国会でも政府のサイバーセキュリティー戦略本部の担当大臣を兼任する桜田義孝五輪相に「ご自身でパソコンを使うか」との質問があったが、これ一つみても、いかに野党の質問のレベルが低いかが分かるし、国民はそれを見抜いているのだ。
その結果、野党は国民の支持を得ることができず、国民の支持を失った野党は、なんとか政府の失点を作り出そうと、さらにレベルの低い質問を繰り返し、国民は一層離れてしまう。極めて残念なことであるが、野党は、そんな負のスパイラルに陥っていることさえ気づいていない。自分たちの行動が異常で、有権者から支持を得ていないということに気づいていないのだ。
国民は、野党に政府の揚げ足取りや、クイズのような質問をしてほしいなどと思っていない。真剣に政策を戦わせてほしいと願っている。その国民の期待に応えていない、応えられないのが、現在の野党だ。
今回の申し入れでは「立法府のあり方について与野党が真摯に協議する場を設けるため」の努力を大島理森衆院議長に要請しているのだが、必要なのは協議の場ではなく、野党の真摯な姿勢だ。