医療崩壊危機で問われる自治体の決意
新型コロ
ナウイルス感染症に関し、首都圏1都3県への緊急事態宣言が発令されたが、感染拡大は依然として続いている。それだけでなく、大阪府など関西3府県なども宣言に加わる状況だ。医療崩壊の危機が指摘される中で、各自治体とも早急に強力な医療体制の再構築に着手することが求められている。
新型コロナに関連して全国で確保されている病床は、緊急事態宣言発令前の1月6日現在で2万7650床、そのうち重症者用は3582床となっている。さらに宿泊療養者のための確保居室数は2万6399室となっている。同日時点の入院者数は1万3082人だから、全体の病床使用率は47%、重症者は1224人で重症者用病床使用率は34%となっており、まだ一定程度余裕がある。
しかし、これは日本全体の数字で、都道府県によってはまったく別の光景となる。東京都の場合は、全体の病床使用率が78%、重症者用病床使用率が87%となっており、そのほか大阪や兵庫などでも高い使用率を示している。
さらにこれは6日時点の集計だから、その後の感染拡大でさらに逼迫していることは間違いない。
新型コロナによる医療崩壊を防ぐには、感染者の拡大を速やかに防ぐか、医療体制を再構築するかの二通りしかない。感染拡大の防止は飲食店などの営業自粛や営業時間の短縮、企業でのテレワークの促進などさまざまな対策が行われており、これを着実に進めたり、場合によれば強化したりするほかはないだろう。
そう考えれば、次の手段としては医療体制の再構築しかないが、民間病院などには新型コロナに関する病床提供に積極的ではなく、病床確保がなかなか進まないという実態もあるという。
しかし、新型コロナに関する特措法では、都道府県知事が、医師や看護師など医療関係者に対し、場所、期間その他の必要な事項を示して、患者に対する医療を行うよう要請することができることを規定している。
また、特措法の第48条では、緊急事態宣言を受けた都道府県知事が「区域内において病院その他の医療機関が不足し、医療の提供に支障が生ずると認める場合には、その都道府県行動計画で定めるところにより、患者等に対する医療の提供を行うための施設であって特定都道府県知事が臨時に開設するものにおいて医療を提供しなければならない」と定めている。
つまり、緊急事態宣言を受けた地域の医療機関が不足する場合は、当該都道府県の知事は、臨時の医療機関を開設してでも、医療を提供する義務を負っているのだ。
最近は「医療崩壊の危機」と口にする知事がいるし、メディアも危機感を煽っている。感染拡大が危機であることは間違いないが、その危機を脱するためには具体的な対策が不可欠だ。医療体制を再構築するため、自治体の首長はあらゆる手段を利用することを模索すべきだ。
(terracePRESS編集部)