選択肢はいつ示されるか?
立憲民主党の枝野代表、国民民主党の玉木代表が4日、それぞれ三重県伊勢市の伊勢神宮を参拝後、年頭の記者会見をした。合流話をしている政党の代表が、同じ日に、同じ場所で記者会見するなら一緒にすればいいと思うのだが、それぞれ両党の都合もあるのだろう。と、皮肉の一つも言いたくなる。
ところで、その会見で枝野氏は「国内の政治においては今年総選挙がある、その公算が高いと言われている。平成の30年間、あるいはその少し前くらいから続いていた弱肉強食の社会を、新しい時代が本格的にスタートする今年、大きく変えていかなければならない。そんなギリギリのところにいると思っている。解散総選挙があれば、必ず政権を奪取する」などと発言している。
一方の玉木氏は「さまざまな問題を野党で力を合わせて向き合っていかなくてはならならい。大きな固まりをしっかりつくって、安倍政権に代わる選択肢を示すことが必要だ」と述べている。
枝野氏は、今年総選挙があれば、必ず政権を取ると公言し、玉木氏は選択肢を示すことが必要と言う。
両氏とも政党の代表だから「政権を取る」「選択肢を示す」と発言するのはいいが、いったいいつその選択肢が示されるのか。
野党の間では、2019年5月に結んだ野党各党と市民連合の政策合意書「立憲野党4党1会派の政策に対する市民連合の要望書」を下敷きにするとの考えもあるようだが、これは総選挙で政党が示す〝選択肢〟には程遠いものだ。
そもそも、この合意書では「2019年10月に予定されている消費税率引き上げを中止」と盛り込まれている。では、野党は総選挙があれば、この政策合意書を踏まえて「消費税率」の引き下げを政策に盛り込むのだろうか。もちろん、そのためには、現在の幼保無償化などの財源を別途提示しなければならない。
枝野氏は会見で「今までの社会のあり方を、大きく、一人ひとりの暮らしに着目した政治へと変えていく。そんな年にしていく決意だ」と述べている。
「一人ひとりの暮らしに着目」するのは必要だろう。しかし、政治に、政権に必要なのは、10年後、30年後、50年後など未来の子供たちへの責任だ。今の国民一人ひとりだけではないのだ。具体的な選択肢も示されないまま選挙目当てに耳障りのいい言葉だけでは、有権者にとってはだまし討ちでしかない。
(terracePRESS編集部)