経済対策、補正予算の策定が不可欠
新型コロナウイルス感染症の拡大が再び勢いを増している。感染者数の中での重症者の割合がそれほど増えない点はこれまでとは異なるが、緊急事態宣言の拡大などで再び経済への悪影響も懸念される。年末に向けて経済対策、補正予算の策定が求められている。
2020年度の一般会計予算は当初予算が102兆6580円だったが、3次にわたる補正予算の策定で、175兆6878億円にまで膨れ上がった。
このうち2021年度へ繰り越される額が過去最大の30兆円規模に達する見込みとなったが、これは観光需要喚起策「Go Toトラベル」のように感染拡大で事業が中断したものがあったり、コロナ患者を受け入れる医療機関を支援する「緊急包括支援交付金」などの未執行があったことが影響したことも事実だが、コロナ対策としての過去最大規模の予備費を充実させたことなども影響した。
2021年度当初予算は106兆6097億円となっているが、今後のコロナの状況によっては経済活性化が急務となる可能性が高い。
コロナワクチンの接種は確実に進展するし、菅首相が27日の会見で「重症化リスクを7割減らす新たな治療薬を、政府で確保しているので、この薬について、これから徹底して使用していくことも(関係閣僚で)確認した」と述べているように、薬剤を含めた治療方法の進歩で重症化リスクを低減させることは可能だ。
感染状況が改善されれば経済へのてこ入れを本格化させることが不可欠で、与党内ではすでに補正予算の必要性が指摘されており、自民党の甘利税調会長は25日のテレビ番組で、経済対策を盛り込んだ2021年度補正予算編成について「(衆院選後の)11月の臨時国会で成立させ、直ちに執行するのがいい」との考えを示している。
公明党の山口代表も12日の講演で、「補正(予算)うんぬんの前に経済対策の内容が重要」と指摘した上で補正予算について「財源や規模を決める段階ではない」と述べながらも「来年度(2022年度)当初予算(の成立)までに補正予算が不要とは考えない。必要だ」と強調している。
もちろん、新型コロナの出口が不透明であっても、将来にわたる日本の成長を確保するための対策は不可欠だし、静岡県熱海市の盛り土崩壊のようなケースへの対応も含めた防災・減災対策も必要だ。
日本の成長実現のためのデジタル化や脱炭素は当然のことながら、特に新型コロナで疲弊した観光業などを中心とする地域経済の活性化が必要なことは言うまでもない。
政権担当能力などない野党は、実現可能性の乏しいことまで主張するが、実際に経済対策、補正予算編成に関与できるのは与党だけだ。それだけに与党が政府と一体となって、今後の日本の成長を実現するための対策を講じ、補正予算を編成することが必要だ。
(terracePRESS編集部)