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2021.08.02

コロナ対策に必要なさらなる情報発信

新型コロナウイルス感染症対策として、埼玉、千葉、神奈川の首都圏3県と大阪府に緊急事態宣言が2日から発令され、北海道、石川、京都など5道府県にまん延防止等重点措置が適用される。新型コロナへの警戒感に対する国民の〝緩み〟が指摘されているが、今一度、国民も感染対策の主体であることを想起させる情報発信が不可欠となっている。

 

今回の新たな措置について菅首相は7月30日に記者会見した。菅首相はそこで自ら「首都圏、関西圏を始め、多くの地域で増加傾向が続き、これまでに経験したことのないスピードで感染が拡大をしている」と述べたが、残念ながらそのこれまでにない傾向に対する危機感は伝わらなかった。

 

確かに懸念すべき点は随所で言及している。デルタ株が急速に拡大していることも指摘しているし、〝緩み〟についても首相は「強く憂慮すべきことがある。1つは、若い世代での感染が急拡大をしていることだ。東京では30代以下の感染者の割合が7割に達し、中でも20代の感染者が連日1000人を超えている。そして40代、50代の重症者が増加傾向にあり、1月と比較しても1.5倍という水準で、このまま感染者の増加が止まらなければ、重症者数も更に増加し、病床がひっ迫するおそれがある。また、新規感染者数の急増に伴い、保健所による入院の調整に大きな負担が掛かり、自宅で待機する方も増えているのが現状だ」と述べている。

 

しかし、残念ながらこうした危機感は国民に伝わっているとは言えないし、国民に対しては「再三にわたる皆様へのお願いだが、大変に心苦しい思いで、ワクチン接種が更なる効果を発揮するまでの今しばらくの間、お一人お一人が高い警戒感を持って、感染予防を徹底し、慎重な行動を採るようにお願いする」と、感染防止への行動を要請している。

 

こうした首相の弁に決定的に欠けているのは、国民も感染対策を行う主体だという意識ではないか。感染対策は「お願い」ではない。国民の「責務」である。感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律では第4条で「国民の責務」として「国民は、感染症に関する正しい知識を持ち、その予防に必要な注意を払うよう努めるとともに、感染症の患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならない」と規定している。国民は必要な注意を払うよう務めなければならないのだ。

 

実は、菅首相の会見に同席した分科会の尾見会長は「私は最も今までの中で重要な危機に直面しているので、そうした今の状況に、どう、我々国民、社会全体が立ち向かうかということでこれからの推移は決まってくると思う」と述べている。単なるお願いベースではなく、国民も対策の主体であるという印象が強くなっている。

 

国民へのメッセージの発信について問われた首相は「(30代以下への)メッセージ、そこは極めて大事だと思っている。(中略)やはりSNSとか、特に若い人向けというのはしっかり力を入れてやる必要があると思っている」と答えているが、これはほぼ無回答に等しい。

 

もちろん、会見での情報発信の仕方や、若者へのメッセージの発信の仕方も、首相自身というより、官僚の失敗という部分が大きい。若者だからSNSという短絡的な発想しかできない官僚では、どんなにあがいてもメッセージは伝わらない。

 

(terracePRESS編集部)

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