謝罪像、元徴用工訴訟…日本は毅然とした対応を
韓国の民間植物園に、慰安婦を象徴する少女像の前で、土下座して謝罪する安倍首相をモチーフにした像が設置されたという。菅官房長官は28日の記者会見で「国際儀礼上、許されない」「日韓関係に決定的な影響を与える」などと強い不快感を表明しており、日本としては像の撤去を強く求めるべきだ。
この像が「日韓関係に決定的な影響を与える」のは間違いないが、旧朝鮮半島出身労働者、いわゆる元徴用工の裁判の行方はさらに日韓関係に悪影響を与えることになる。
この訴訟で勝訴した韓国の原告側はすでに日本製鉄が鉄鋼大手ポスコと合弁で設立したリサイクル会社「PNR」の株式を差し押さえている。この株式の現金化に道を開く「公示送達」の期限が8月4日に迫っているのだ。
慰安婦問題でも元徴用工問題でも、そもそも韓国側が一方的に両国で策定した取り決めを破ったことが問題を複雑にしている。
慰安婦問題は、最終的かつ不可逆的な解決を確認した日韓合意を韓国が一方的に破棄したものだし、元徴用工問題はそもそも元徴用工が日本に対して請求すること自体、日本と韓国の間の日韓請求権協定で認められていない。韓国政府だけでなく、韓国国民が日本政府や日本国民、日本企業などに対して何らかの請求をすることはできないのだ。
その国際的な取り決めがあるにもかかわらず、元徴用工訴訟では原告の請求権を認め、すでに差し押さえまで行っている。そして8月4日以降に裁判所が命令を出せば、原告は資産評価など株式売却に向けた手続きを始めることができる。
もちろん日本政府も、もし現金化されたら「深刻な事態になる。その前に問題を解決しなければいけない」としており、韓国政府に現金化を回避するよう求めているが、韓国政府は「司法判断を尊重する」などとして、事実上放置状態だ。
当然のことだが、もし現金化されたら、日本政府は毅然とした対応をとることが不可欠だ。慰安婦問題もそうだが、国際的な取り決めを一方的に無視し、その責を日本に負わせようという韓国政府は、残念ながら未来志向の日韓関係の構築という考えには興味がないのだろう。
すでに政府内では「韓国政府などの日本国内資産差し押さえ」「韓国製品への関税強化」「駐韓大使・総領事の一時帰国」「韓国人の本国への送金規制」「韓国人の入国ビザの審査強化」などさまざまな対抗手段を検討しているといわれる。中には、金融制裁というカードもあるといわれている。
公園に設置された謝罪像もそうだが、元徴用工訴訟で毅然とした対応をとることが日本国民の利益、すなわち国益を守ることになる。
(terracePRESS編集部)