1年間で実績を多々あげた菅首相
自民党の総裁選不出馬により、菅首相は首相退任を決めた。社会では、菅政権があたかも、新型コロナウイルス感染症対策に失敗したかのような評価がされているが、そうした評価とは別に、菅政権の実態は、ほぼ1年という短期間の中で数々の実績を残したということだろう。
確かに新型コロナではデルタ株が急激に拡大し、医療の逼迫を招いたが、あたかもそれが菅政権の失敗のように思われている。東京五輪の開催についても、五輪と感染拡大に因果関係があるかのような指摘もあった。
そもそもデルタ株は世界各国で感染拡大したし、もちろん、それらの国々では五輪など開催していない。そんなことは冷静に考えるまでもなく判断できるはずなのだ、それにも関わらず、菅政権にすべての責任を押しつける。それがコロナ報道だったり、野党のやり方だったりしたのだ。
ワクチン接種にしても、その遅れが散々批判されたが、そもそも国内での治験を求めたのは立憲や共産などの野党だ。危険性を煽るだけ煽って、昨年12月に成立した改正予防接種法に「新しい技術を活用した新型コロナワクチンの審査には国内外の治験を踏まえ、慎重に行うこと」とする付帯決議を盛り込ませたのだ。
菅首相は、そのワクチンの承認遅れを挽回させるために1日100万回の目標を掲げ、他国と比べて見劣りしないレベルまで取り戻した。
そして重要なことは、菅首相が、今後の日本の方向付けをするという重要な政策を短期間のうちに決めたことだ。今後の成長のエンジンを「グリーン」「デジタル」「地方活性化」「子ども・子育て」と位置づけ、来年度予算で重点化する方針を掲げ、「新たな成長推進枠」という2年ぶりの特別枠を設けた。
中でも、菅首相は昨年10月の臨時国会の所信表明演説で、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言した。この宣言以降、日本の社会は急速にグリーン化社会に向けて動き出し、企業もさまざまな分野でカーボンゼロ社会でのビジネス構築の検討を始めている。こうしたイノベーションがさらに、新たなビジネスを作り出すことにもなる。
デジタル化の促進もそうだ。新型コロナは日本の行政組織のデジタル化の遅れを露わにしたが、それが日本社会の弱点とみるやデジタル庁の設置を決め、この9月に発足した。今後、行政組織や民間企業のデジタル化の促進などを急速に進める見込みだ。また、首相は携帯電話の料金値下げに取り組み、年換算で4,300億円の負担軽減を実現した。
小泉環境相は「総理が批判されてばっかりでしたが、こんなに仕事をした政権はない」と述べたが、この評価は正当だ。メディアや野党はプラスかマイナスか、ゼロかイチかの評価しかできないが、菅首相には実績が多々あったことも事実だ。
(terracePRESS編集部)