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2020.01.09

着実な推進が不可欠なIR事業

衆院議員の秋元司容疑者が収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された事件で、統合型リゾート施設(IR)事業の必要性を否定するかのような〝暴論〟が跋扈している。

 

立憲民主党の枝野代表は年頭の記者会見で「IRについては、カジノ・博打を解禁し、しかも民間企業にやらせるというのは、それこそ持統天皇以来の日本の歴史と伝統をぶち壊す、保守にあるまじき行為であるということで反対をしてきた。そもそも推進してきたこと自体の正当性が問われる状況だと(思っている)。結局、自分たちの利権のために進めてきたのではないか」などと批判している。

 

この「持統天皇以来…」というのは解説が必要かもしれない。昨年7月に野党が内閣不信任案を提出した際、枝野氏は衆院での趣旨説明で「7世紀末、持統天皇の時代に、すごろく禁止令が発令され、以来、我が国は1000年を超える期間、賭博は違法であるという法制度の下で歴史と伝統を積み重ねてきた。1000年以上に渡って違法とされてきたものを使って、利益を上げて経済を成長させる。その事自体がみっともない政策ではないか。持統天皇以来の歴史を一顧だにせず、このような馬鹿げた制度を強行する人たちに保守と名乗ってほしくない」などと訴えていた。

 

「持統天皇が禁止した賭博を解禁するのだから保守ではない」というのだから驚きだ。保守というのは漸進主義のことだ。歴史を保守しながら、その一方で少しずつ世の中を変えていくことが保守なのだ。もし、枝野氏が自身で保守を名乗り、その保守は7世紀末のルールに固執することというのなら、もはや枝野氏という政治家すら必要ないということになる。

 

それは措くとしても、カジノ、カジノというが、IRは「統合型リゾート」(Integrated Resort)のことで、国内外の観光客を呼び込むために、ホテル、レストランやショッピングモール、劇場や水族館などのエンターテイメント施設、カジノ、国際会議場や国際展示場などの各施設を一体的に整備・運営しようというものだ。カジノはそれの一部でしかない。

 

IRの考え方は、海外ではいち早く取り入れられ、ラスベガスをはじめ、最近ではシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズはホテルの屋上に展望プールがあり日本人でも訪れた人が多いだろう。

 

ちなみに、マリーナ・ベイ・サンズは東京ドーム約4個分の敷地に2,561室の巨大ホテルをはじめ、約12万平方メートルの会議場・展示場のほか、ショッピング施設、劇場、博物館、スケート場、ナイトクラブ、カジノなどが併設されている。

 

最近は、日本の国際会議や展示場などの国際競争力は急速に衰退している。アジア・大洋州での国際会議の開催状況をみると、1991年に51%シェアを占めていた日本は、2015年には26%にまで低下。2015年の都市別の開催件数でも、シンガポールが156回で1位。これに対し東京は80回、京都が45回、福岡は30回で、ソウル(117回)、香港(112回)、バンコク(103回)、北京(95回)などと水をあけられている。

また展示場でも日本の立ち遅れが目立ち、広さ9.7万平方メートルで日本最大の東京ビックサイトは世界78位、アジアでも22位でしかない。

 

こうした数々の国際競争力の低下を巻き返し、海外からの旅行客やビジネス客を呼び込んで新たな観光ビジネスモデルを確立しよういうのがIR事業の本質だ。

 

菅官房長官は昨年12月25日の記者会見で、事件に関連しIR事業について「政府としては、できるだけ早期にIRの整備による効果が実現できるよう着実に進めていきたい」と述べているが、IRの日本の重要な成長戦略なのだ。

 

(terracePRESS編集部)

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