急務となっている高齢者を活用できる社会の構築
総務省が先ごろ公表した「統計からみた我が国の高齢者」によると、65歳以上の高齢者の人口に占める割合は29.1%と過去最高となり、日本の高齢者人口の割合は、世界で最高となった。今後も高齢者割合は上昇する見込みで、少子化対策を進めるとともに、高齢者を活用できる社会の構築が急がれている。
総務省によると、65歳以上の高齢者は15日時点で前年より6万人増の3627万人で過去最多となった。総人口に占める割合も前年より0.3ポイント増だった。
就業面をみると、2021年の高齢者の就業率は25.1%となり、前年と同じ。年齢階級別にみると、65~69歳は10年連続で上昇し2021年に初めて50%を超えて50.3%となった。70歳以上は5年連続で上昇し18.1%となった。
男女別にみると、男性が34.1%と前年に比べ低下、女性が18.2%と10年連続で前年に比べ上昇した。このうち65~69歳の就業率をみると、男性は2014年に50%を超え、2021年は60.4%。一方、女性は2014年に30%を超え、2021年は40.9%となっている。
高齢就業者を従業上の地位別にみると、役員を除く雇用者が517万人で高齢就業者の57.6%、自営業主・家族従業者が270万人で同30.1%、会社などの役員が111万人で同12.4%となっている。さらに、高齢就業者のうち役員を除く雇用者を雇用形態別にみると、非正規の職員・従業員が75.9%を占めており、そのうちパート・アルバイトの割合が52.2%と最も高くなっている。
雇用形態が非正規の職員・従業員の高齢雇用者が現在の雇用形態についた主な理由をみると、男性は「自分の都合のよい時間に働きたいから」(30.7%)が最も高く、次いで「専門的な技能等をいかせるから」(18.5%)、「家計の補助・学費等を得たいから」(16.4%)などとなっている。
女性についても、「自分の都合のよい時間に働きたいから」(38.0%)が最も高く、次いで「家計の補助・学費等を得たいから」(21.7%)、「専門的な技能等をいかせるから」(8.7%)などとなっており、自分の都合などで多様な働き方をしている
日本社会の少子高齢化、人口減少が進んでいる中で、高齢者の活用はますます重要となっている。
岸田政権も「新しい資本主義のグランドデザイン」で「子供・現役世代・高齢者まで幅広い世代の活躍を応援」することを打ちだしている。
政府は現在高年齢退職予定者のキャリアなどの情報を登録し、その能力の活用を希望する事業者に対して紹介する「高年齢退職予定者キャリア人材バンク事業」や「高齢者活躍人材確保育成事業」など高齢者の多様な就業支援を実施している。
主要国の高齢者の就業率を10年前と比較すると、日本がプラス5.9ポイント)、韓国がプラス5.8ポイントなど各国とも上昇し、中でも2021年の日本の高齢者の就業率は25.1%と主要国の中でも高い水準となっている。
現役世代や女性の就業支援はもちろん不可欠だが、高齢者をさらに活用することが日本経済の基盤を支えることにもなる。
(terracePRESS編集部)