国民が支持する韓国への輸出管理見直し
政府による、韓国向け半導体素材の輸出管理の見直しは、多くの国民も無関心でいられない問題となっている。
NHKが7月5~7日に実施した世論調査では「適切な対応だ」と回答した人が45%で、「不適切な対応だ」が9%、「どちらともいえない」が37%。JNNの調査では、「妥当だ」が58%に上っているから、多くの人が政府の対応を支持していることになる。
それはそうだろう。韓国の産業通商資源省は2015年から19年3月までに戦略物資の東南アジアや中国、中東諸国などへの違法輸出が156件に上ったと明らかにしているのだ。違法輸出先には、北朝鮮と関係が深い国も含まれているうえ、違法輸出の中には生物・化学兵器を含む大量破壊兵器製造にも転用できるフッ化水素などの輸出も含まれていたのだ。
しかし、まだ日本には意図的か、意図的ではないのかは分からないが、今回の措置を輸出規制の強化と報じるメディアもあり、韓国側も「輸出規制の強化」と日本を批判している。
だが、今回の措置は規制強化ではない。正確に表現するのなら「規制緩和措置の中止」だ。日本は韓国向けの輸出手続きを2004年から、特別に優遇して簡略化していた。
いわゆる「ホワイト国」として扱ったわけだ。
ホワイト国とは、大量破壊兵器等に関する条約に加盟し、輸出管理レジームに全て参加し、キャッチオール制度を導入しており、これらの国から大量破壊兵器の拡散が行われるおそれがないことが明白と判断した国のことだ。
ちなみに、キャッチオール制度とは、大量破壊兵器や通常兵器の開発などに使われる可能性のある貨物の輸出や技術の提供などを行う際、所管の省庁(日本の場合は経済産業大臣)への届け出およびその許可を受けることを義務付けた制度だ。
現在、日本は米国、英国、ドイツ、フランスなどホワイト国に27カ国を指定している。つまり、この27か国は信頼できる国だから、輸出手続きを簡略化し、3年間有効な「包括許可」を得れば、いつでも輸出を認めるというわけだ。
ホワイト国以外は、輸出の契約ごとに「個別許可」となるが、韓国への輸出は2003年まで個別許可で行っていた。今回の措置は、2004年以降の手続きの簡略化をもとに戻すという措置なのだ。
だから、これは韓国が批判している自由貿易の原則からの逸脱という話ではない。もし、そうであれば、ホワイト国以外の国々との貿易もすべて自由貿易ではないということになってしまう。政府が主張するように「安全保障上に関する貿易管理上の見直し」なのだ。
問題は、韓国が不正輸出をしていることで、日本が主張している事例が含まれているか否かは別として、それは韓国側のデータでも明らかだし、日韓の戦略物資会議が韓国側の理由で3年間も開かれていない。
いわば、今回の措置は世界的な安全保障を強化するための措置なのだ。だからこそ、国民一人一人が政府を支持すべきことなのだ。
(terracePRESS編集部)