加藤厚労相の「誤解」批判はまたしても揚げ足取り
加藤厚労相が先ごろ、37.5度以上の発熱が4日続くとされるPCR検査の目安について「目安ということが、相談とか、あるいは受診の一つの基準のように(とらえられた)。我々から見れば誤解でありますけれど…」と発言したことについて、野党やメディアが批判した。
例えば、立憲民主党の枝野幸男代表は11日の衆院予算委で「国民や保健所への責任転嫁だ」と批判。11日放送のフジテレビ系「とくダネ!」では、フリーアナウンサーの小倉智昭氏が「この言葉は、皆さん同様、相当怒りましたね、私も」などと語気を強めた。枝野氏にしても、小倉氏にしても、この問題についてどこまで把握して、加藤氏を批判しているのだろう。
新型コロナ感染症の受診の目安としては、確かに厚労省は2月の段階で示した「帰国者・接触者相談センターに御相談いただく目安」では、「以下のいずれかに該当する方は、帰国者・接触者相談センターに御相談ください」として①風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方 (解熱剤を飲み続けなければならない方も同様。)②強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方-としていた。
これが、世間の誤解を生み、医療現場での混乱を招いたのだろう。しかし、厚労省は誤解されていることに気が付き、是正しようとしていたのだ。
厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は3月22日、各都道府県などの衛生主管部あてに「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安について」という通知を出している。
正確に引用すると、ここでは「帰国者・接触者相談センターに御相談いただく目安として、『風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方』『 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方』を挙げていますが、両方の条件がそろわないと相談できないと受け止められているのではないかとの声もあります。これら2条件がともにそろった方ではなく、どちらかの条件にあてはまる方には、帰国者・接触者相談センターまで御相談いただき、帰国者・接触者外来への受診調整を行う等の対応をお願いします」
続けて「また、目安では『風邪の症状や37.5度以上の発熱』のある方については『4日以上』となっているので、『強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)』のある方についても、4日以上続くことが必要と受け止められているのではないかとの声もあります。『強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)』のある方には、直ちに帰国者・接触者相談センターまで御相談いただき、帰国者・接触者外来への受診調整を行う等の対応をお願いします」としている。
以上の通知を見れば明らかなとおり、厚労省は3月の段階で誤解があることを認識し、その誤解を訂正するための通知を出しているのだ。加藤厚労相の「誤解」発言は、事実を述べたにすぎない。それを批判するのは、単なる揚げ足取りになのだろう。
(terracePRESS編集部)