評価すべき菅政権半年の実績
菅政権が昨年9月の発足以来、半年が経過した。新型コロナウイルス感染症下の政権発足という大きな課題を背負ってのスタートで、首相自身「あっという間の半年」と語っている。菅首相はこの間、コロナ対策以外にも携帯料金値下げや不妊治療の助成拡大という足元の課題やデジタル庁やカーボンニュートラルなど、日本の将来を見据えた中長期的な課題でも成果を上げている。
民放テレビの情報番組で最近「自粛慣れ」という言葉がよく使われている。新型コロナ感染者数が下げ止まりをみせる中で、繁華街の人手が増加していることに対する言葉だ。国民に〝気の緩み〟が出ていることを示しているのだが、感染対策の核心部分は、政府や自治体ではなく国民の行動にあることは間違いない。
欧米各国のようにロックダウンまで実施しても、日本とは比べものにならない状況に陥っていることを考えれば、日本の官民の取り組みはここまで順調に推移していることは確かだ。
もちろん、病床の確保などは政府や自治体の責務であり、病床不足が医療体制の逼迫を招いた一因であることも間違いない。それは今後の医療体制の強化に活かすべきだろう。
こうした新型コロナへの対応が政権の最重要課題であることは間違いないが、それだけが政権の役割ではない。コロナ対策だけに目を奪われれば、日本の将来はたちいかなくなる。そういう意味では、菅政権はこの半年という短い期間で、前述したように携帯料金の値下げや不妊治療など具体的な成果を上げている。
そしてさらに評価されるべきは、デジタル化とカーボンニュートラルだ。新型コロナで行政分野のデジタル化は看過できないほどの遅れがあることが露わになった。これを一気呵成に改革しようというのが9月に発足するデジタル庁だ。
日本では企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れも懸念されており、行政分野と共に産業界でも取り組みを進め、それによって働き方など、日本の社会のあり方も改革しようという方針だ。
また、「2050年カーボンニュートラル」は、政府が牽引役となりさまざまな技術開発を進めることを想定しており、これにより日本の雇用や所得、いわば〝食い扶持〟を作るものだ。
少子高齢化が急速に進み、国際間の競争も激しくなっていく中で、菅政権が打ち出した「2050年カーボンニュートラル」は、日本の今後の成否を握る重要な戦略と言えるだろう。
さらに、外交でも着々と実績を上げている。安倍前政権は「安倍外交」と称されるように安倍氏個人が果たす役割が大きかったが、菅政権では「政権」として取り組くんでいる。中国の影響力が増大する中で、バイデン大統領といち早く会談をすることを決めたほか、それに先立ち日米の外務、防衛閣僚による2プラス2会合を日本で開催したことは、日米同盟の強化という大きな実績を残した。
菅政権の半年は野党やメディアの一方的な批判がある中で、国民にとって大きな成果をももたらしたことは間違いない。
(terracePRESS編集部)